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10-1

 託の家でココアを飲んだら体が温まって心地良かった。震えも少し軽減された。 「落ち着いた?」 「ごめんなさい」  託はため息をついた。 「すぐ謝るの鈴也の悪い癖」  僕は何も言えなくなった。 「最近入った新人ってあいつ?」 「うん」 「目付けられてたんじゃないの?」  そうなのだろうか。よくわかってなかった。 「気を付けてよね」 「ごめ、じゃなくてありがとう」 「鈴也、こっち向いて」  託の方に目を向けると、強烈なグレアを放たれた。 「託、待っ」 「何やられたの?」 「託」 「言え」  僕の口から勝手に言葉が出るのを止められなかった。  ニールをさせられて、無理矢理ホテルに連れて行かれたこと、四つんばいになって移動させられ、犬のように物を取りに行かされたこと。  しゃべるなと言われ、「ワン」とだけ言わされたこと。 「エッチなことはされなかった?」 「されてない」  託とのことを想像して、顔が火照りだした。 「本当に? 顔赤いけど」 「違う。その聞き方が」  託に聞かれると恥ずかしくて、つい顔に出てしまったみたいだ。 「ぶっ殺してやればよかった」 「ちょっ、託」 「月曜日から仕事どうするの?」  答えられなかった。  託がいつもより少し強引で、疲れてるのに、上書きするようにプレイをさせられた。  そして、途中で気付いた。もしかしてディフェンス?  僕はパートナーではないのに、託がそんな風になるなんて驚いた。

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