43 / 47
13-4
「クライムしよっ」
「だって託」
嫌みたいだったのに。
「ここまで言ってもわかんない?」
何が?
「きょとんとした顔すんのやめて」
だって、僕の理解が追いつかない。
「鈴也が好きって言ってるの」
「嘘」
「何でそこで疑うの?」
託に悲しい顔をさせてしまった。
「違っ。その」
だって、そんなの知らない。
「ただのいじめだったら学校行かないでそれで済んだんだよ」
「え?」
「鈴也だから嫌だった」
僕は何も言えない。
「そんな俺を見かねて、母さんは都内の高校に行かせてくれたんだ」
そんなことを言いながらも、託は僕の胸の突起を執拗に攻める。
「あっ。やっ」
「好きな人に無理矢理やらされる気持ちわかる?」
「あっ」
託の顔をまともに見られない。
「だから同じことしてやろうと思った」
託?
「ドロップするまでやるなんて最低のDomだけど」
「そんなことな」
唇を唇で塞がれた。
「鈴也こそ本当に俺でいいの?」
そんなの今更の今更で。
「中学の頃からずっと好きだった」
好きだからこそいじめてしまった。
「僕の方こそ、託を支配した気になって誤魔化してた」
「お互い様」
託に服を脱がされた。やっぱり恥ずかしい。つい手で覆ってしまう。
「隠さないで全部見せて」
グレアはなかったけど、金縛りにあったみたいに、動けなかった。
「あっ。託」
「きれいだよ」
そんなことないのに。僕の体なんて。
託がローションを取り出して僕は慌てた。
「ちょっ、ちょっと待って」
「鈴也はじめてでしょ? ゆっくりほぐすから」
「そうじゃなくて、汚い」
シャワーも浴びてない。
「なんだそんなこと?」
「託は何でそんな慣れてるの?」
「俺だって男とははじめてだけど」
「男とは?」
「あっ」
託はしまったという顔をした。
やっぱり。経験あるんだ。
しかも女の人と。
「若気の至りだって。そんなことで拗ねない」
「拗ねてない!」
託はそんな僕もかわいいとか、甘い台詞を吐くけど、絶対からかってるに決まってる。
ともだちにシェアしよう!