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第4話 僕が勝てるもの?

 部屋には勉強机と、父さんが買ってくれた新しいベッドが置かれ、大きな作り付けのクローゼットと本棚がある。  細々としたものはまだ段ボールに入ったままだ。  僕はその段ボールの中の一つを開け、中から参考書と問題集とノートを出した。  容姿では絶対的に敵わず、性格も、少し軽い感じはするが物おじしない律と暗い僕では好感度が高いのは圧倒的に律だろう。  そんな僕が唯一律より勝っているものがあるとしたら、それは勉強しかない。  自分で言うのもなんだが、僕はかなりランクの高い進学校のN高に通っていて、クラスでも一番の成績を保ち続けている。  テストで良い点数を取ったら母さんがとても喜んでくれるので、僕にできる唯一つの親孝行だと、勉強だけは毎日努力している。  会ったばかりの律を一方的にライバル視するなんて、なんだかかなり卑屈になってる気もするが、他では圧倒的に敵わないのだ、せめて成績くらいは勝ちたいと思っても罰は当たらないと思う。  僕は参考書と問題集を開くと、ノートに向かって問題を解き始めた。  翌朝、あくび交じりに僕が部屋から出ると、ちょうど隣の部屋のドアが開き、制服姿の律と鉢合わせした。 「おはよ」  律が軽い感じで挨拶をしてきたけれども、僕はそれに応じることができなかった。  律の着ている制服を見てショックを受けていたからだ。  律が着ている、僕のとは違う色とデザインのブレザーの制服は、N高よりもランクの高いG高校のものだったのだ。  つまり僕は勉強でも律に敵わなかったわけだ。

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