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「キャップもいいけど、こういう帽子の方がもしかしたら似合うかもしれないね」
スザクは、ハンチング帽を選んでユキトにかぶせた。
「ほら、やっぱり」
スザクは、ハンチング帽を被ったユキトを見て言った。
「スザクさん、何がやっぱりなんだ…?」
「やっぱり似合うな、と思ったんだよ。すごく可愛いよ」
可愛い…と言われユキトは思わず俯いた。
胸の鼓動が少し高まるのを感じた。
鏡に映る自分を見ても、可愛いなんて思わなかった。
でも、スザクにそう言われると、何故か身体が熱くなるのを感じた。
「ユキト、すごく似合うからこれを買ってあげたいんだけど、気に入らないかな?」
「気にいらなくはない…かな…」
ユキトは俯いたまま、自分で驚くほど小さな声で言った。
スザクのクスッと笑う声が聞こえた。
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