44 / 86

4-11

外はすっかり暗くなっていた。 ユキトは、スザクに連れられてショッピングモールの屋上へやってきた。 「…すごい…」 ユキトの目の前に広がったのは、美しい夜景だった。 交差する色とりどりの光がユキトを魅了した。 「ここの屋上は夜景が綺麗なんだよ。ユキトに見せたくてね。」 「…なぁ、スザクさん」 「ん?」 「なんか、俺、今日一日で沢山の初体験をしたよ。すごく不思議な感じた。でも、なんていうか、楽しかった。ありがとう、スザクさん」 ユキトはスザクの方を見て言った。 その後ろではキラキラと輝く夜景が見えた。 「ユキト、君はとても純粋な心を持っている。その心を無くさないでほしい。こう言うと怒るかもしれないが、ユキトは暗殺者として生きるべきじゃないんだ。」 そう言うと、スザクはユキトを抱きしめた。 「え、ちょっと、スザクさん…!?」 「好きだ、ユキト」 動揺するユキトを更に動揺させる一言をスザクは、言った。 「…は?」 ユキトはスザクの胸の中で、思わず素っ頓狂な声をあげてしまった。 スザクはユキトを正面に見据え、改めて目を見て言った。 「私はユキトの事が好きだ。ずっと好きだった。」 「…スザクさん…」 スザクの本気が伝わり、ユキトは黙り込んでしまった。

ともだちにシェアしよう!