95 / 110
【15】これからも、ずっと……➆
リビングの窓から朝の清潔な光が差している。
「次のプロジェクトが決まったぞ」
「今日あたりメール来ます?」
洗面台の前に並んで、お揃いのパジャマ姿で歯を磨く。
「また周防さんと一緒だといいな……」
「根回しはしてある」
「あ、やっぱり」
「当然だろ?」
周防が悪戯っぽい顔で口をゆすぐ。
そんな姿もカッコよくて胸がキュンとする。
「どんなプロジェクトですか?」
「大手寝具メーカーの業務プロセス改善だ。新規事業の経営戦略立案も任されている」
「寝具メーカーか」
「二人の愛の証が仕事になるな。ピヨたんを可愛がる最高のベッドでも開発するか」
「……公私混同しすぎです」
「俺はいつだってそうだ。そして、確実に結果を出す」
「もう、開き直らないで下さい」
でも、嬉しい。
これからもずっと周防と一緒にいられると思うと、それだけで幸せな気持ちになる。
「本当は嬉しいんだな。やっぱり、陽向は素直で可愛い」
「…………」
陽向は周防にキスしたい衝動を歯磨きで誤魔化した。
もう片方の手で周防のパジャマの裾をこっそりつかむと、すぐにバレて上から手をつかまれた。
鏡の中で目が合う。
楽しくて幸せで、大好きだと思った。
(了)
ともだちにシェアしよう!