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【番外編】スケルトン・ラブ……⑭

 数日後、宅配便で小さな箱が届いた。  アトリエの名前を記したシンプルなメッセージカードに『お礼 ご希望の品です』とある。  中を開けてみるとフェルトでできた人形が出てきた。  不思議に思って人形を眺めると、それが、ある日の自分であることに気づいた。  ――これってあの……。  アヒルの着ぐるみの胴体から顔だけ出している男の子。  東洋製薬の記念祝賀会で、ピヨたんに入った時の自分の姿だった。  全てはここから始まったのだと感慨深い気持ちになる。  ――でも、可愛いな。  思わず笑みがこぼれた。  小さな頭を撫でてみる。  羊毛フェルトでできたピヨたんは両手を上げて、笑顔を弾けさせながら楽しそうに踊っていた。 (おしまい)

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