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【17】-2
「あったよ。帰ってきて、和希を待ってたらピンポンが鳴って、出たら、あれがいた」
「……それだけ?」
「それだけだ」
「何しに来たの?」
「知るかよ」
高そうな酒の箱を見せて、受け取れと言うから断っていたところだったと言った。
「……ふ、ふうん」
二、三歩先に行っていた慎一が、戻ってきて和希を見下ろした。ビミョーな沈黙が流れる。
薄闇に包まれた路地裏で、何もない塀に向かって和希は視線を泳がせた。
慎一がにやにやと笑い始めた。
「和希……、妬いたんだ」
「ち、違……」
「違わないだろ。素直になれよ」
慎一の機嫌はすっかりよくなっている。
「俺が彼女といるのを見て、動揺したんだな」
「違う! みるくが……」
みるくが逃げて、慌てたのだ。それは本当だ。
「みるく、外に出たことないのに、帰れなくなったら可哀そうじゃないか」
「うんうん。みるくのことも、もちろん心配だったよな。でも、動揺もしたんだ」
全く譲らない男の胸をドンと叩いた。そのまま抱き寄せられて、髪にキスを落とされる。
「あー、どうしてくれよう。もう待ってやれない気がする。今すぐ、どうにかしたい」
ぎゅうぎゅうと腕に力をこめられ、「苦しい」、「バカ」と訴えたが、しばらく緩めてもらえなかった。
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