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【17】-1
堀から言われたことを、慎一はそのままテルに伝えた。
テルからも話を聞き、いくつか質問をした後で、「明日、店を開ける前に顔を出せ」と言ってテルたちの隠れ家となっていた廃工場を後にした。
路地を家まで戻りながら慎一がため息を吐いた。
「何やってんだよ。スマホ鳴らしても全然出ないし」
不機嫌な言い方に、助けてもらった恩も忘れて和希は口を尖らせた。テルと慎一が話している間に、震えはほとんど収まっていた。
「だって、エコバッグに……。てゆーか、なんですぐ来ないんだよ。みるくが、どっか行っちゃったんだぞ」
「みるくは回収済みだ」
「え……?」
「花の後ろに隠れてた」
赤いスイートピーの、と言って、またため息を吐く。
和希が裏を探しに行ったから、表を探そうとしたら、そこにいたのだと淡々と説明した。
「そ、そうなんだ……」
それにしても来るのが遅かった。
再び文句を言うと、「バカな女が階段でこけたんだよ」と不機嫌さを強めて言った。転がり落ちて大騒ぎして、足をくじいたと言うからタクシーを呼んでいたのだと続ける。
「あんなヒールで来るからだ」
和希は足を止めた。
「なんで……」
「和希?」
「なんで、あの人がいたんだよ……。今日は、昼間は用事があったんじゃないのかよ」
涙がじわりと滲んできた。
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