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【20】-1

 開店前の仕込みをする慎一と一緒に『縁』の店内にいた。  四時頃になるとなぜか岩田がやってきた。田中と鈴木も後から来た。 「無理言ってすみません」  慎一が頭を下げると、三人は「こっちもありがたいんだ」と笑っていつもの席に座った。  しばらくするとタカとヤスと、ほかに三人の手下を連れたテルが店の入り口に立った。 「入れよ」  慎一が短く言うと、六人はそれぞれ深く一礼して店に入ってきた。 「もし、働く気があるんだったら、岩田社長の下請けさんたちが使ってもいいって言ってくれてる」  すぐに本題を口にした慎一に、直立不動で聞いていた少年たちが一斉にテルの顔を見た。テルも初耳だったらしく、呆然としている。 「鈴木さんも田中さんも、俺やおまえたちみたいなクズが、どうしてクズでいなきゃならないのか、わかって言ってくれてる。ほかに何人か、使ってくれそうなところを岩田さんが探してる。やるかやらないかはおまえらが決めろ」  少年たちは互いの顔をチラチラと見ていた。  田中がゆっくり口を開いた。 「職人の世界は、最初はきついし給料も安い」  次に鈴木が言う。 「だが、食ってくくらいは、なんとかなる」  岩田も頷いた。 「辛抱して続けて、腕が上がれば独り立ちもできるしな」  学歴は必要ない。  多少の補導歴があっても構わない。  頑張る気があるなら、それで十分だと口々に言う。  田中と鈴木は、自分たちも中卒だと言って胸を張った。  少年たちの目に小さな希望の光が灯るのがわかった。 「本当に……?」  岩田たちが頷く。 「これも何かの縁だ。どうだ。やってみんか?」

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