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【20】-2
「シンさん……」
テルが涙をこらえるように顔を歪ませた。慎一は「やる気があるなら、はっきり岩田さんたちに言え」と素っ気なく言った。
姿勢を正した六人は身体を折るように深く頭を下げた。
「お願いします!」
白いものの目立つ三つの頭が嬉しそうに頷く。
「おまえら、シンさんの顔をつぶすようなことをしたら、俺が許さねえからな」
泣き笑いで手下たちを脅したテルは、きらきらした目で「シンさん……」と振り返った。
慎一は、やけに冷たく言った。
「用が済んだらさっさと帰れ。そろそろ店を開けるし」
少しガッカリしつつも、テルはもう一度、岩田たちと慎一に深く頭を下げ、手下を連れて出ていった。
岩田たちも一度仕事場に戻ると言って帰っていった。
「仕事中に、すみません。ありがとうございました」
礼を言う慎一に、スカウトや面接も大事な仕事だと言って三人は店を出ていった。
「テルくんたち、よかったね」
「テルに『くん』なんかつけるなよ」
さっきから若干機嫌が悪い慎一だ。
「俺は、まだテルを許してないからな。和希を野外で……」
ぶつぶつ呟いて鼻に皺を寄せている。
(あ、そのことね……)
それでも、岩田たちに縁をつないだのだ。
「えらいね、慎一」
そばに行って頭を撫でると、慎一はすぐに機嫌を直して、いつものようににこりと笑った。
氷を削り、グラスを磨きながら、慎一は店で起きた事件やちょっとした笑い話をいくつかしてくれた。
堀は交番勤務の時にこの地区を担当し、一度よそに異動になってから、刑事として戻ってきたそうだ。
「刑事になってから、どんどん目つきが悪くなってる」
少し嫌そうに言って笑った。
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