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第46話 <Hシーン注意>

 宝はイアンの手をとると、もとあった自分の腰に添えさせた。  宝のペニスは彼の腹にも跳ね返る。見てみるとやっぱりイアンの腹も宝の漏らしたもので濡れ光っていた。しかもときおりその粘液は自分のペニスから彼の腹へと糸まで引いていて――。それを目の当たりにしてぞくぞくぞくぞくと背筋を震わせた宝は、次の瞬間にまたビュクと射精してしまった。 「ふくっ……」  見るんじゃなかったとぎゅっと目を瞑っても、いまさら遅い。イアンが「またイったな」と眉を寄せ目を(すが)めながら笑った。それでも彼の宝を穿(うが)つ動きは、けっして休まらない。  しかもそのセリフを最後に、イアンの表情は一変していた。険しく眉間に皺を刻み、黙って腰を激しく打ちつけてくる。彼の額を伝った汗が、宝の肩にぽたっといくつも落ちてきた。  腰に指が食いこむのが痛かったが、不満を伝えて動きを止められたくはない。心がもっともっと、と貪欲に彼を求めてしまうから。  彼に追いあげられて、自分のまだ見たこともない出口から、そのてっぺんへと突き抜けてみたかった。 「ああっ……ああっ…‥んっ……」 (気持ちいい、気持ちいい、気持ちいい……)  だらしなく開いて閉じられない口から、恥ずかしい声と伝い落ちる唾液を止められない。顎に伝ったそれをイアンにべろりと舐めとられると、胸の尖りがそそけてしまい掻痒感に苛まれてしまう。    宝はたまらずに彼の胸板にそれを押しつけた。とたんに胸のさきを中心としてじわんと甘い疼きが拡がり「あんっ」と叫んでしまう。 (いいっ……いいっ……もっとっ……もっと……) 「ふぁっ、ああん、……んっんっ」 「宝、たか……ら……っ」  こめかみに名まえを囁かれて、びくんびくんと腰が揺れる。感じすぎて身体がどうにかなってしまいそうだった。  ますます激しくなっていくイアンの動きに、宝の背筋が震える間隔も短くなっていく。ふたりのクライマックスはもうすぐそこだった。 「――やっ、いやぁっ、」 「たからっ……呼ばれると感じるんだな。……かわいいな」 「やめっ……やめてっ、いやっ」 (こ、声が……。もう名まえ呼ばないでっ……)  脳まで侵されるような感覚に、これ以上は赦して、と宝は首を打ち振るう。 「……たから」  それなのにまた、イアンに熱い吐息で囁くように云われて――。 (くるっ!)  宝は身体を硬直させ、ぎゅっと目を瞑った。 「やぁぁっ――!」  のぼりつめた宝が息も絶え絶えに喉を嗄らして叫んだそのとき、突然宝から身を引いたイアンがベッドのうえの剣を掴んだ。 「だれだっ!」  イアンの誰何(すいか)の声に「たからっ、大丈夫っ⁉」と、甲高い声が被さる。 (ひゃぁっ)  乱暴に彼のペニスが抜け出ていった。胴震いしながら自分の吐きだしたもので胸を濡らしていく宝の視界の端で、片足を床につきすばやく鞘から抜いた剣を構えたイアンと……。 「――ゆっ、ゆうきっ⁉」  こちらにまっすぐかけてきた華奢な少女が対峙した。  余韻もなにもあったもんじゃない。絶頂の瞬間にイアンに突き放された宝は、ぽかんと口を開けて固まってしまった。 「……ゆ、ゆうき」 (―み、見られたぁぁっ)  これで宝の素敵な思い出は、台無しとなった。 「ゆうきっ⁉ な、なんでここにっ⁉」 「ひっ ――――⁉」  宝は結城を刮目した。結城もまた息を呑んだまま、目を皿のようにして固まっている。但し彼女の視線さきは、宝からは見えないイアンの股間に向かっている。 「ちっ」 「ぎっ、ぎゃああぁぁぁぁぁーーっ」  気を抜いたイアンが剣を放ると、やっと金縛りがとけたらしい結城が、「イアンのばかぁぁぁぁ‼」と叫びながら身を翻し出入口へと走りだした。  ぽかんと口を開けて固まったままの宝の胸に、険しい顔をしたイアンが布団をかけてくれる。しかしその彼の肩越しにこんどは「結城っ、どうしたっ⁉」と部屋に飛び込んできた晶をみた宝は血相を変えた。 「あっ!」 (ぶつかる!)  宝が声を上げたとき、晶にぶつかるようにして抱きついた結城の腕が晶の持っていた銃を弾いた。  ビシュン!  銃口から青白い光線が飛びだしたのも、それが天井に跳ね返ったのも、宝にはまるでスローモーションのようにみえた。  キィィンッ‼  天井に向かって放たれた光線は、格子状の木枠に設置していた光源に跳ね返り乱反射する。  バリバリバリバリッ! と部屋中に稲妻が走ると、次の瞬間床から光の壁がぶわっと天井へと突きあげた。  バチバチバチッ!  眩しくて目を閉じかけたとき、部屋に飛び()ったたくさんの雷のうちのひとつが、宝たちめがけて飛んでくる。 「うわぁっ」 「くっ!」  全身を走った凄まじい電流に、宝が死を覚悟したのは云うまでもない。  左の指の焼けつく痛みに指輪の存在を思いだした宝は――とりあえずいちどは恋人ができたし、死ぬ前に童貞を捨てることもできてよかったと、ブラックアウトする寸前にちょっとだけとホッとしていた。

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