6 / 6

第5.5話

 風呂場へ移動するあいだアスターは僕の腕に抱かれ、所在なさげに縮こまっていた。目的の場所にたどり着くと僕はアスターを下ろし、肌の上に羽織っていたものを脱ぎさる。それになぜかアスターが目を丸くした。 「スピネルも一緒に入るの?」 「うん。アスターの中に残ってるものも掻きださないといけないし」 「……掻き、だす?」  昨夜アスターが寝てしまったあとに掻きだせる分は処理したけど、あの場では完全にきれいにすることはできなかった。不調が出たらかわいそうだから、ここできれいにしてしまわないと。  動揺しているアスターをそっと抱き寄せて、腰から下へ手のひらを滑らせる。薄い肉の膨らみを撫でてから昨日暴いたばかりの窄まりへたどり着くと、慎重に指先を沈めた。初めはあんなに固く侵入を阻んでいたアスターの場所は、今はやわらかく解けていて容易く僕を受け入れてくれる。 「こうやって指で、掻きだすんだ」  内緒話をするように耳元で囁くと、アスターの体がまるで置物のように固まってしまった。初々しい反応がかわいらしくて、自然と口許が緩む。  空いてる方の手で宥めるように背中を擦りながら、ゆっくりと指を動かす。下から濡れた音がしたのとアスターの肩がびくりと跳ねたのはほぼ同時だった。 「……っふ」  色っぽく吐息を溢すアスターに手を止めて、顔を覗きこむ。 「ごめん。痛かった?」 「……いたかったわけじゃ、ないけど」 「本当? もし痛かったら我慢せずに教えて」  ちゅと額に口づけると、小さく頷いたアスターがしがみついてくる。警戒心もなく僕を頼りきった姿に、堪らない気分になった。何度か髪にキスを落としながら、アスターの中に残ったものを掻きだしていく。 「ふっ……う、く」  声を我慢しているのか、アスターから押し殺すような息づかいが聴こえた。それを耳にする度に内側にじりじりと熱が蓄積していく。こくりと唾液を飲みこむと、僕はアスターから指を引き抜いた。 「指じゃ奥までは届かないみたいだ。別のものを入れてもいい……?」 「え?」  初めは言葉の意味がわからないとばかりに呆けた顔をしていたアスターだったけど、遅れてこちらの意図に気づいたらしい。はっとした様子で視線を下に落とし、挙動不審になる。 「えっ、や……それは」 「そこの壁に手をついて、お尻こっちに向けて。……うんそう」  なにか言いかけたのを遮ってお願いする。素直過ぎるアスターにお尻をこちらに突きだすような格好をとってもらうと、これまでの痴態で限界まで熱くなったものを小さな後孔へ宛がい、埋めこんでいった。 「あ……っ、あ」 「ん……はあ。届いた、ほら」 「や、スピネル……っ」  一旦腰を引いて、ゆっくりアスターの中へ押し入る。ニ度目のアスターの体内は蕩けるようにやわらかくて、温かくて、僕のものをきゅうきゅうに締めつけてきた。  すぐにでも激しく突き上げたくなるけど、これはセックスではなくあくまで僕が放ったものを掻きだすための行為。そういう名目なので敢えてアスターが感じる場所を外して、中のものを掻きだすことを意識する。 「ふ……っあ」 「ごめんね。苦しい?」  後ろ姿でもアスターが真っ赤になっているのがわかった。首まで火照っている。そんなアスターの項を甘噛みしながら、腰を前後させた。しばらくそうやっていると、耐えかねたようにアスターがこちらを振り返る。 「ス、スピネル……」 「ん?」  物欲しそうにひくつき、絡みついてくる内部からも、アスターがなにを望んでいるのかはわかっていた。だけどこちらから手を差しのべる気はない。僕はアスターの口から直接その心の内を聴きたいのだから。  素知らぬ風を装っていると、アスターの腰が遠慮がちに揺れた。それでもまだ決定的な言葉を言いだせずにいる彼に、少し意地悪をすることにする。 「もしかして痛む? ……抜いた方がいい?」 「!」  抜こうとすると、アスターが慌てた様子で僕の言葉を否定した。  「ほんとに、痛くない」 「ならアスターは僕にどうしてほしいんだろう?」  頑なに僕が望む言葉を飲みこもうとするアスターに焦れて、耳の奥に息を吹きこむようにしながら「言って」と促す。同時にアスターの感じる場所のすぐ側を狙って突いた。 「あ……スピネル……っ」 「ん? ここじゃない? じゃあこっちかな」 「ン、ちがぁ」  甘ったれた口調で苦しそうにいやいやと首を振るアスターに、僕は肩を竦めてみせる。 「困ったな。わからないからアスターが直接教えてくれる?」  あくまで惚けていると、涙目のアスターがいいところに擦りつけるように腰を動かした。 「スピネルここ……っここ、ごしごしって擦って」 「ここ?」  一生懸命になって、何度もこくこくと頷くアスターに笑みが浮かぶ。望みどおり、アスターの弱いところを強めに刺激してやる。 「んうっ、あ……あっ」 「昨日が初めてだったのに、もうお尻で気持ちよくなること覚えちゃったんだ。いいよ、アスターが欲しいだけいっぱい突いて擦ってあげる。えっちなアスターもすごくかわいい」 「……やぁ」  突き上げの度にアスターから鼻にかかったような声と吐息が溢れて、もっともっと鳴かせなくなる。腰を掴んで音が響くくらい打ちつけていると、アスターの内壁が僕のものを搾り取るようにまとわりついてきた。 「あっ、あっ、あ……っスピ、スピネル」 「うん。きもちいいね」 「んっ」  追い上げるように奥を叩く。するとアスターがびくびくと震えながら前を放った。僕も後を追うようにアスターの中に吐きだすと、ぎゅうっと快感に耐えている体を抱き締める。  最後まで注ぎきると中のものを抜き去る。途端に溢れたものがアスターの太腿を白く汚した。 「きれいにするつもりだったのにまた汚しちゃったね……」 「んん……」 「また掻きだしてあげる」  にっこり微笑み、今度は正面からもう一度、掻き出すという名目で挿入した。  かわいいアスター。これからもっともっと僕なしではいられなくしてあげたい。 おしまい

ともだちにシェアしよう!