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男の娘なので女の子になりたい 1

 待ち合わせ場所にいたマコは女にしか見えなかった。落ち着いた、けれど可愛らしい紺のワンピースと白いレースのハイネックを合わせて、リボンのついたバッグを持って、スエードの靴を履いていた。  口を開いても男とすぐにわかるほど声は低くなくて、レースで覆われた首をよくよく見てそこに喉仏が認められなければ、彼を男だと判断できる要素は何もなかった。  ラブホテルの入口をくぐりながら、誰が見ても男女カップルに見えているのだろうと思うと、妙におかしな気分だった。  シャワーを浴びて、バスローブ姿になっても、マコの印象はさして変わらなかった。肩に届くほどの髪は地毛らしく、黒く艶めいてなまめかしかった。 「……マコくんは、女の子になりたいんだよね?」  依頼の内容を確かめるつもりで言ったが、口にしてみると自分でも何だか違うニュアンスに聞こえた。 「はい……僕、こういう経験なくて……」 「こういうって、男とセックスするの?」  マコはうつむきがちになりながら頷く。恥ずかしそうな様子なのがかえって色っぽかった。 「お尻に何か入れたこともない?」  そう訊くと、マコの目が泳いだ。恥じらいと戸惑いで色づいていく肌が美しかった。 「……それは、自分で、その、一通り……」 「どれくらいの大きさまでなら気持ちよくなれる?」 「…………ふ、普通の、ディルドぐらいなら……」  もじ、と膝を擦り合わせるのが可愛かった。どうやら彼の身体はもう、セックスの準備を調えているらしかった。 「メスイキしたことは?」  艶を帯びた瞳がこちらを見て、そしてすぐに逸らされた。羞恥の色がますます濃くなって、ついいじめてやりたくなってしまう。 「あり……ます…………」  震えそうな声で答えるのがたまらなくて、その頬に手を添えてこちらを向かせた。 「じゃあ、もうほとんど女の子なんじゃない? 今日は処女を捨てたいってことかな?」 「あ……え、と、自分でできることは、大体やったつもりなので……もっと女の子に近付きたくて……」 「そっか。どうりですっごく可愛いと思った。男に抱かれていっぱいイッちゃうえっちな女の子になりたいんだ?」  こく、とマコは恥ずかしそうに頷いた。 「了解。今日はマコくんがもっと女の子になれるようにがんばるよ」  マコは目許を染めながら、あの、と遠慮がちに呟いた。 「呼び方……ち、ちゃん付けの方が……」 「──ああ、そうだね。ごめんね、こんなに可愛いのに、マコちゃんって呼ばないと変だよね」  笑って頭を撫でてやると、マコははにかみながら微笑んだ。その表情はいとけない少女のようでもあるのに、彼はこれから金銭で男とセックスしようとしているのだと思うと、ひどく倒錯的で興奮を誘った。  抱き寄せてキスをして、恋人同士のように抱き合って、耳元で可愛いねと囁いてやるだけで、マコはもじもじと脚を擦り合わせた。セックスの経験はないといっても、自分で拡張してメスイキできるようになるまで開発したというのだから、欲情するのも当然だ。  すでに奥がうずいているのだろうと思いながら、わざと知らぬふりをしてローブをはだけさせると、露わになった小さな乳首もつんと尖っていて、反応の良さに自然と笑みが漏れた。 「マコちゃんはおっぱいがちっちゃいんだね」  やんわりと胸を撫でてやりながらそう言うと、マコは小さく首を振る。感じているのか、恥ずかしいのか、あるいは嫌悪なのか、どれであっても、マコの身体が興奮を示している以上、遠慮してやる理由はなかった。  なめらかな肌を撫で回し、指の腹で乳首をこねてやると、マコの肩がびくりと震えた。 「あっ、やんっ……!」  感度の良さに微笑んで、片方を指でいじりながら、もう片方を口に含んで舐めて転がし、吸ってやる。マコは及び腰になって身をよじりながら、高く切ない声を上げてみせた。 「マコちゃん……初めてなのにどうしてそんなに乳首で感じちゃうの? 乳首でいっぱい一人えっちしちゃった?」 「あっんっ……」 「それとも誰かに開発されちゃったの? こんなに可愛い乳首、他の男にも好きにさせたんだ?」  マコはふるふると首を振る。そして蚊の鳴くような声で言った。 「さ、させてない……自分で……いじって……」 「自分で乳首いじりながら気持ちよくなってたんだ?」  こく、と頷いたマコは顔を紅潮させていた。恥ずかしいばかりではないのだろう、と思いながら、その身体をベッドに横たえて細い身体を見下ろす。  下腹部のローブの生地が持ち上がっているのを見て、そこに手を当てると、怯えたように腰を引いた。 「マコちゃん、何か硬いのがあるよ。どうしたの?」 「あ……」  恥じ入った顔でマコは唇を開いたが、そこから言葉は出てこなかった。それに微笑んでローブの前を開いてやると、赤みを帯びたペニスがすでに首をもたげていた。

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