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第七章・16

「痛くないか?」 「どうして?」  まだ、指も入れてないのに。 「畳に肌が、擦れていないか」 「あ……、大丈夫」  兄の細やかな気遣いが嬉しい惠だ。  しかし、もう一つの心配事が頭をよぎった。 「畳……、汚さないようにしなきゃ……」  付けてやる、と瑛一がポケットから取り出したのは、スキン。 「いつも、そんなの持ち歩いてるの?」 「いつか、こういう事になるかと思ってな」  くすくす笑う瑛一が、意地悪だ。  教育実習中に、校内で弟とエッチする可能性をしっかり見抜いているなんて!  胸元を弄り、手でペニスを嬲り始めると惠は息を荒げ、お喋りができなくなってしまった。 「それでいい。余計なことは考えるな」  学校だろうが、茶室だろうが、俺は今お前を抱きたい。それだけだ。

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