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第6話
「母上。紹介します!えっと、僕のお嫁さんのイズミちゃんです!」
恋一郎の母親はヒルトンのバーで長男坊に結婚相手を紹介され、「ほう、典型的なギャグだな」と感心した様子で顎を撫でた。
「初めまして。イズミです」
振袖に身を包んだイズミは淑やかに頭を垂れる。その様子を恋一郎はニコニコとして眺める。
「って、どない見ても女装した男やん!?」
母親はどうにも堪えきれなくなって喚いた。
「母上。安心して下さい。僕たち籍も入れたので」
「…え!?」
まさか男同士で籍を入れられるとは…!アッパレだ…─
「あ!そうそう。二人で式も挙げちゃいましたから」
「は???」
「これ、写真です。イズミちゃんったらこのウエディングドレス手作りしたんですよ!?」
「おい!ちょっと待て、って、これって何処だ!?」
「ニューカレドニア」
「おい、恋一郎!!」
母親は座っていられなくなって椅子を引いた。顔なんて真っ赤だ。
「まぁまぁ、落ち着いて下さいってば」
「落ち着いていられるか!」
「イズミちゃんは僕たち青梅院ホールディングスとライバル関係にある、あの橘グループの御曹司様なんですよ?」
「うッ!」
母親は頭を抱えた。
「あの…心配なさらないで下さい。僕はほんのお飾りで、実質の経営は天野って代表取締役がしておりまして…」
イズミはすかさずフォローを入れる。
「母上?しかもですよ?実はイズミちゃんは僕との愛の結晶をご懐妊されているんです!」
「ぐおおーッ!!」
恋一郎の母親はその場に突っ伏して気絶してしまった。
恋一郎とイズミは手を取り合って「もうすぐ卵で双子を産みまーす!」と声を揃えて明るく笑う。
便利な親のクレカ。
素敵な花嫁。
無自覚にヒーローもしている。
嗚呼、彼ったらハンサム過ぎて自由なのだ。
人間の皮を被ったハンサムには理屈などない。
He will continue to shine `gold`.
...Chao!
【Fin.】
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