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第5話
甘酸っぱい新婚生活は通い婚としてスタートを切った。
晴れやかな生活である。
彼らの愛の巣はお互いの傷をお互いで埋める都会のホスピスなのだ。
元々女性に強い憧れのあったイズミは可愛らしい新妻になった。
恋一郎を玄関で迎える時にはPちゃんで顔を隠し、『お帰りなさい、お仕事お疲れさまだっぴー』等と可愛い事を言うのだ。
もちろん恋一郎の洋服はイズミが見繕って世話を焼き、料理にも性生活にも益々力を入れる。
夫の為に尽くす事はイズミの長年の夢であった。
恋は魔力だ。
恋一郎は仕事でも私生活でも胸を張るようになり、ハンサムパワーも格段にレベルアップした。
得てせずに歌舞伎町の結界は日本列島の何処よりも強固なものとなったのだ。
「ブーケちゃんただいま!」
パッと明るい顔をした恋一郎はお土産の紙袋を差し出して「クレモンフェランのシュークリーム、買って来ちゃいました」と微笑む。
動物病院から一歩も出ずしてハンサムパワーだけを使ってゲットしたのである。
イズミは柱の陰からパッと現れて、普段通りPちゃんで顔を隠して「恋ちゃん、ありがとうございますだっぴー!」とか楽しくやっている。
「イズミちゃーんッ!」
恋一郎はイズミをPちゃんごと抱き上げると、フィギュアスケートのペアのようにくるくると回る。
「もう、恋ちゃんたら」
「あははっイズミちゃーん!」
二人はチュッチュと可愛いキスをし合って、およそ人生の絶頂とも呼べる幸せに二人して溺れた。
新婚生活はガキのごっこ遊びみたいな事を良い大人が向き合って真剣にする期間なので、そこはどうしようもない。
彼らはそのルールに則って生活しているだけで、罪はない。
一通り踊ってから、イズミは照れながらも恋一郎にこそこそと耳打ちをした。
二人きしだのに内緒話とは贅沢である。
おそらくは『料理にしますか?お風呂にしますか?それとも』などと新婚らしい事を言っているのであろう。
恋一郎はイズミの瞳の奥を見詰めてから、Pちゃんの耳を塞ぎ、イズミにだけ耳打ちを返した。
それから本当に嬉しそうに二人で笑うのだ。
***
「Pちゃんは寝ましたか?」
「はい。ぐっすり」
そりゃぬいぐるみだもので都合よく寝る筈である。
夕食後、子供部屋でPちゃんを寝かせ付けたイズミは食洗器に皿を入れてくれている恋一郎の横にひっつき虫した。
「ところで、今日は何処まで出来ましたか?」
「ええ、スワロフスキーを何とか付け始められました」
「凄い!もう縫えたんですか!?」
恋一郎は嬉しそうに驚き、ドイツ製の食洗器の扉を閉めた。
「挙式が楽しみです」
イズミの手を取ると、イズミは手を握り返してくれる。
「ええ…」
しばらく目と目で抱擁するように互いを見つめ合っていた二人だが、恋一郎は『じゃあ、そろそろおっぱい屋さんしませんか?』と耳打ちをした。
おっぱい屋さん…―言葉を聞いたイズミはポッと赤面してから唇を尖らせる。
「声、響くの恥ずかしいからやっぱり浴室では駄目ですか?」
恋一郎があえて否定的な質問をすると、イズミは左右に首を振った。
イズミにしたら、Pちゃんさえ起きなければ愛し合うなら場所は何処でも良いのだ。
「さ、行きましょう」
可愛らしい姿に満足した恋一郎はイズミを抱き上げて浴室に向かった。
「はい…」
期待から完勃してしまった竿が布に擦れて痛い恋一郎なのであった。
***
「今日のパンティ、可愛らしいですね」
脱衣所で服を脱ぎ、風呂場に入る準備をする恋一郎は紐で結わったパンティに指を滑らせた。
綺麗なゴミのようなフリルが沢山付いた薄い下着だ。
「恋ちゃん」
イズミは恥じらって消え入りそうな声を出しながらブラジャーの紐を落とす。
その愛らしいポーズは恋一郎を興奮させた。
「イズミちゃん!」
恋一郎は強引にイズミを抱き寄せると硬くなった性器をパンティの部分にグッと押し付けてはぁはぁと息を漏らす。
「イズミちゃん好きです」
イズミの耳元で何百回目かの告白をした。イズミは「もう」などと困ったようにして笑っている。
腰に巻き付いていた紐を抜き取れば、イズミの其処も雄を主張していた。
恋一郎は指で二本の肉棒を密着させ、唇を合わせてイズミを抱き込むと、そのまま浴槽に向かった。
「う…後ろ、ジクジク疼いて…」
扱きあって抱擁している半身を引き剥がしてイズミは呟いた。
「え」
恋一郎はキョトンとした後に耳だけを器用に赤らめる。
「でも、そこは赤ちゃんがいるから触っちゃ…」
イズミは片足を高く上げて股を開き、「妊娠中に浮気があるって…ワイドショーで観たんです」と囁いて恋一郎を熱く見た。
「そんな、僕はイズミちゃんだけです」
恋一郎は我慢汁でドロドロになった花芯をぎゅっと握り込んだ。
「…恋ちゃんにその気がなくても、ハンサムだからあっちからやって来るかもって思ったら…僕…」
イズミはかなり一人で悩んでいたのか、唇を噛んで悲しい顔をした。
「妬いて下さるのは嬉しいですけど、僕は普段もっさい眼鏡を…」
弱った感じに目を細めるとイズミはくるりと身を反転して尻を突き上げた。
「見えますか?」
上擦った声を出す。
恋一郎はごくりと溜まった生唾を飲んだ。
「初めて貴方に暴かれて、それから何か月も此処に何も入れて貰ってない」
ぱっかりと足を開いたその窄まりは薄暗いピンク色をしていて、パクパクと口を開閉している。
放射線状に筋の入っている中心は淫らな蜜溜まりが出来てた。
「僕の此処…恋ちゃんをずっと待ってるみたいで…」
イズミは指で玉を持ち上げて自らの会陰をくるくると擦り上げた。
「ああ…」
そしてだらしない表情をして水気を含んだ吐息を漏らす。
「何だか、変な気分なんです…はぁ…ああ…」
イズミはアヌスを押し開けてこれ見よがしに中身を見せた。
「イズミちゃん!僕だってずっと我慢してて…ッ!」
恋一郎は唾を飛ばして「安定期に入るまで一緒に我慢しましょうよ」と続けたものの、イズミにはそう刺さらなかったらしい。
「此処、虐めて」
声もその窄まりも脆弱に震えていた。
「くッ!」
恋一郎は目を瞑って顔を避け、こめかみで高鳴る脈の音を聞いた。
「恋ちゃん…」
イズミは眉間に皺を寄せている恋一郎の頬をそっと撫で、上目使いで子猫のように見詰めた。
恋一郎は新妻から誘われているのである。
「れ・ん・ちゃん…」
イズミはゆっくりと夫の名を呼んだ。
そうして浴室の壁に恋一郎を追い詰めて、ソッと肉芽を抓る。
白い体液がパタタと浴槽の縁に毀れた。
「お尻が駄目なら、おっぱい、舐めて下さい」
「そう言う事しちゃ駄目ですっ」
恋一郎はキッとイズミを睨んで肩を押した。
「え?」
イズミは叱られたのかと驚いていると、恋一郎は獣のような息を立て、「無理矢理とか滅茶苦茶に、ヤるところでしたから」と瞳を揺らした。
「シてよ…」
恋一郎にされるのであれば、どんな事だって受け入れてしまう。本望だ。
「でもイズミちゃん」
恋一郎は弱り果ててイズミの髪を撫でた。
「イズミの身体、夏にシてよ」
イズミは恋一郎にしがみ付いて「待てないの」と促す。
「イズミちゃん」
乳の香りが鼻孔を擽る。
「恋ちゃんのでイきたい…」
「あ!」
「ああ…恋ちゃん…」
イズミは恋一郎の亀頭をアヌスに押し付けると、そのまま体重を掛けて飲み込んでしまった。
「う…ぁ…ッ」
恋一郎の艶めかしい声が浴室に反響した。
茹るような温度と粘膜の生々しい肉感にゾクゾクと身体が震える。
「ああ!恋ちゃんンっ」
内臓が大きく変形して犯される快感にイズミは腰を疼かせた。
イズミのザーメンは恋一郎の胸元に飛び散って、母乳を垂らしているみたいに見える。
「イズミちゃん、駄目な子ちゃんですね」
恋一郎は蠱惑的に笑ってペロリと唇を舐めた。
「ン…あ…ぁ」
「イズミちゃんのおまんこ、熱くて最高です」
恋一郎はイズミの耳朶を軽く吸って尻を揉んだ。
「ああ、あ!」
「ほら、きゅんきゅんしてる…」
ピストン運動の度にイズミの鈴口からは残滓がぴゅるりと飛び出る。その都度、胎内ものたうちうねるのであろう。
「ああ…やっぱり駄目かも…イズミちゃんのおまんこ気持ち良過ぎる…」
怒張は激しく狭い内襞をストロークして暴れ回った。
「恋ちゃぁん」
跨ったイズミはポロポロと乳液を垂らして悦がった。射精したばかりの中心は力を取り戻して立ち上がりつつある。
「イズミちゃん!」
恋一郎は目の前にあるツンと立ち上がった小さな乳首にむしゃぶりついた。
イズミは本当にソコが弱いのだ。
「ああーんっ!」
快楽に酔ったイズミは甘ったれた声を出して恋一郎にしがみ付いた。
恋一郎はじゅぶじゅぶと音を立てて乳を啜る。
粘着質な音が幾重にも連なって二人は到達した。
体液に塗れながら深いキスをしてお互いに射精すると、快楽が愛液の如くつーっと糸を引く。
ハンサム過ぎて、三か月となった赤ちゃんとは別に受精卵をもう一つ作ってしまった恋一郎なのであった。
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