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僕たちは幼いまま大人になる

「おっっも……」 おぶったままなんとか家まで戻ってきて辻村くんをベットへと寝かす。 服を脱いで放り投げる。 怖がらせないように頬を優しく撫でながら声をかける。 うっすら目を開けた辻村くんが目を見開きベットから降りようとするから覆い被さるように抱きしめる。 怖がらせないように何も言わずにただ抱きしめる。 引き剥がそうとしていた辻村くんの力がどんどん弱まって…… 啜り泣くように話し始める。 「ただ、ただ、俺とヤりたいだけなら優しくせずにしてくれよ。 なんで勘違いさせるようなことするんだよ。 俺はもう、誰かに優しくされる資格も……愛されることだってしちゃいけないのに。 ひどくされたなら嫌いなままでいれるのに、もうやめてくれ、やめてよ。 俺が生まれたせいで体が弱かった母さんは死んだ。俺が生まれなかったらよかったのに」 「冗談でも、生まれなかった方が良かったなんていうな。 ……僕は、辻村くんがいることがすごく幸せなんだから。 僕なんて今の親たちとは血の繋がりさえない」 辻村くんが息を呑む。 俺は少し辻村くんから離れてポツリ、ポツリと話す。 「僕の今の親は、辻村くんと僕との関係と変わらない、ただの他人同士なんだよ。 僕の母親はオメガで、アルファに襲われて僕ができてしまったらしい。 産んではくれたけど愛せないって捨てられて、今の……父さんと母さんが拾ってくれた。 反抗ばかりで迷惑しかかけてない他人を、諦めずに根気よく接してくれた。 だから、僕は、過去とか関係なく、ちゃんと大切にしたいって思った人は大切にしたいんだよ。父さんや母さんがしてくれたように! だから、嘘ばっか言わずに言ってみろよ、本当は自分がどうされたいのか!」 辻村くんが手で顔を隠し子供のようにしゃくりあげながら震える声で話す。 「俺は、生きてていいって言われたくて、人に……愛してほしい」 今度は離れたりしないように強く強く辻村くんのこと抱きしめる。 辻村くんも泣きながら僕に抱きついてくる。 僕たちの心は子供のまま体だけが大人になった。 けれどこれからは互いの心に足りないピースを互いに補いながら僕たちは少しずつ大人になっていく。 END

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