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 するとニューイがあからさまに慌てるので指が動き、九蔵が呻く。  だが潔く観念したらしい。 「ちょっ、んふっ……」 「わ、悪気はなかったのだよ」  すぐにしゅんと眉を下げたニューイは、そのまま九蔵の中へ挿れた指でイジイジと円を描いた。  九蔵は剥き出しの性感帯を擦られるような感覚に、慌てて唇を噛み締める。 「実は人間の魂に触れたり欲望や生気を吸ったりすることが、悪魔の食事なのだ……悪魔も生き物である以上、流石にちょっとも食べないと弱ってしまう……」 「そこ、触ん、な……っ」 「そんな時に、隣で食べごろな最高品質の魂を持つ九蔵が眠っているだろう? だからつい、その、つまみ食いを」 「っ……う、っ……」 「だけど平気だ! 傷一つつけていない! 性欲が一日ぶんなくなっても問題ないし、必要なら食べ残せば、その気は失せない……それに堕落と誘惑が仕事の悪魔との性行為は、人間とのそれよりだいぶ気持ちいいはずである」 「わかったから、はっ……手ぇ増やすのやめてくれませんか、ねぇ……!」  話しながらぐりぐりと肩の内側を弄ぶニューイ。ついに肩を抱いていないほうの手も追加され、九蔵はしゃかりきに制止した。  けれど手は止まらない。  九蔵に叱られたくないあまり、九蔵を感じさせて許してもらおうとしているニューイは、コソコソと愛撫を続ける。 「ぁ……はっ……」  おかげで九蔵は認識できない体の骨組みを触られる未知の快感を、必死にこらえるしかなくなかった。  屹立は、硬く弾力を持って育つ。縮こまった足の間でそそり勃ち、トロ……と蜜をこぼして解放を待ち望んでいる。  それを激しく内ももで擦りたい。ニューイの愛撫を受け入れて達してしまえば終わるだろうか。だがそんな姿を至近距離で見られたくない。恥ずかしい。 「今夜だって、気持ちよくする。傷一つつけないと誓う。こんなふうに」 「ひっ……!」  欲望と理性の間で揺れ動く九蔵を放って、増えたもう片方の手は九蔵の胸元に触れ、生地の薄いスウェットの下へもぐりこんだ。  冷たい手の感触。自分の体温が熱すぎるからだ。止めようとするが、九蔵はなんと言えばいいか考える余裕がなかった。  スウェットの下へもぐりこんだ手はそのまま九蔵の厚みのない胸をなで、緊張と快楽で尖る突起を指先で痛みがない程度に摘まむ。 「だからその、いいかな……?」 「ぅぐ……っ」  よくない。ちっともよくない。  そう言いたいが、魂と乳首を同時にこねられると魂への快感を乳首からの快感だと頭が勘違いしそうになり酷かった。  ニューイはキューンキューンと甘えた声でオネダリをする。 「九蔵、九蔵」 「ン、や、なんてソコ……」 「私は悪魔だから、人間は気持ちいいことを深く好んでいるとわかっている。なんせ悪魔は、人間を堕落させることに長けて生まれる生き物だからね」 「胸は……ンっ……ンン……」 「ポンコツ悪魔の私でも、ちゃんとキミを悦くできるぞっ」 「はっ……っも、わかんね、て」 (つまり、なんだ……生まれつき俺をこんなふうにする生き物、って言ってんのか? っ勘弁してくれ……!)  ニューイのフォロー。  乳首と魂をこねくりまわされる九蔵には安心できる要素がなに一つなかった。却って汗ばむ身体が身震いし、これ以上の未知を拒もうと抗う。  これ以上はマズイ──そう思った矢先。 「そうだ。九蔵、人間が一番気持ちいいところを知っているかい?」 「──っあ……!?」  肩をまさぐっていたニューイが、その手を心臓があるあたりまで滑らせた。  ちょうど心臓のあたりだ。  悪魔の手が九蔵の心臓へズブリと深々埋め込まれ、そしてそのまま、手のひら全体でソコを揉みしだき与える。  九蔵は一瞬、自分の身になにが起こったのかがわからなかった。  丸く縮こまっていた身体が、ニューイの手を体内に押し込まれ、グンッ! と胸を押し出すように弓なりにしなる。  けれど、それを認識できていない。  ニューイが強烈な快感のせいで、だ。

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