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「んん……ニューイ、お前、そんな性格変わっちゃうのかよぉ……」 「あぁ、怖かったか? 悪いね。自分じゃ大して変わってるとかわかんねぇんだよ。生まれた時はこんな感じだったんだっけなぁ……優しくするために今になって……熱い。九蔵、今の俺が嫌いか?」 「んーん、それもいいよ、ニューイですからー……へへ」 「ハッ。魂ごと食い散らかしそう」 「ん? んふふ。な、一緒に飲もうぜ?」 「飲むよ」 「けどいじわるすんの、やだよ〜……」 「でも、九蔵はいじわるが好きじゃねーか」 「ぇえ……そ、か? ……好きかなぁ」 「当たり前だろ? 九蔵はいじわるが好きだよ。知らなかったのか?」 「うん……へへ……じゃ、ニューイのだけは……好きかもしんねぇ、なぁ……」 「フフフ……ヘーキ。俺以外で九蔵にいじわるをした相手は、きっととても、不幸なことになるだろうからな」 「あはっ、なぁんだよ、それぇ……」 「呪いだよ、呪い」 「悪魔ばっかりずりぃの〜っ」 「ククッ、人間だってズリィよ。俺を誘惑してメロメロに酔わせちまうんだからな〜」  九蔵がゴキゲンに首に腕を回してしがみつくと、ニューイはニコニコと笑って強く抱きしめてくれた。  じゃれ合うように身を擦り寄せ、体を離したあとは、二人でテーブルの上から好きな酒とツマミを引き寄せる。 「わーお……このあとシラフになったココさんとニューイが見ものスけど……これ、今なら逃げられるんじゃないスかね」 「なわけないでしょ? 悪酔いモードのニュっちはタチの悪いオレ様なーの。ニュっちは元が優しいんじゃなくて、〝基本誰にでも優しくしたいと思うレアな悪魔〟ってだけなのさ。それが、酔ってる時は理性外れてて無差別になってんのよ」 「つまり?」 「従順なら甘い蜜を。反逆するならどんな手を使ってでも従順に。……昔悪ノリして酔わせた時、勝手に帰ろうとして玉潰されたんだよね〜!」 「ヒュン!」  ズーズィと澄央がやや青い顔でケタケタと楽しげに話す声がなんとなく聞こえる。  確かに従う限り、酔ったニューイは九蔵のハグにも甘えにも応えてくれるし、キスだってしてくれた。  ズーズィはオレ様と言うが、九蔵からすると、それは表し方が違うだけでいつもと変わらない。  自分の心に素直なニューイ。  九蔵の愛する恋人、ニューイだ。  ズーズィと澄央がこの思考を聞いていたら全力でツッコミを入れる案件である。 「さて、さっきは巻き込んで悪かったなぁズーズィ。もつ鍋食うならよそってやるよ」 「え、食べるに決まってんじゃん〜! 断固豆腐ともつだけね! てかモツオンリーでもいい感じだわぁ〜! あ、野菜入れたら顔面につっ返すカモ」 「ハハ。聞こえなかったわ」 「お野菜もオナシャス」 「ゆるキャラ系ニューイがオラオラ系で玉つぶとか……俺割とセクハラしてるんスけど、玉つぶされるんスかね?」 「ん〜……? ナス、しょげてんの……? ほら、焼きおにぎり、食ってみー」 「ママンが癒しス」 「ママじゃねーよぉー」  ──そんなこんなで、下戸の悪酔い二人とウワバミ二人で、カオスと化した宴会場。  交際記念を祝う会は、器用で不器用な二人の新たな一面を発掘し、それなりに楽しく時にバイオレンスに過ぎていく。  記憶のないニューイと違い記憶がある九蔵は、翌朝絶望する羽目になるのだが……今は誰も知らないことなのであった。  第三.五話 了

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