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◇ ◇ ◇
ワガママを言えと言った手前拒否できない九蔵は、一番頑張れそうなプレイ──コスチュームプレイをチョイスした。
理由もちゃんとある。
優しめとはいえ、いきなりSMは穏やかなニューイとのギャップが酷い。
機械音痴のニューイに大人のオモチャを使わせるのは危険だ。もし今後使うなら、自分主導が安牌だろう。
コスプレなら自分が見るわけじゃないし、衣装を着るだけでヤることはそう変わらない。
そりゃあ、どんな衣装でも死ぬほど恥ずかしいことはわかっている。
が、男が頑張ると決めたなら頑張るのだ。頑張るったら頑張るのだ。頑張るしかないのだ。
そんな覚悟で臨んだ九蔵だが──現在。
「九蔵、ちゃんと見ないと意味がないぞ? 視覚的に楽しむのがコスチュームプレイの醍醐味なのだ」
「む、無理……っ」
夜景の見える大きな窓ごしに、セーラー服を着た自分が背後からニューイに貫かれる姿を、見せつけられていた。
震える声で抗いキツく中を締めつけると、グチ、と結合部が擦れる。
天蓋付きのダブルベッドの真ん前が窓だと、すっかり忘れていた九蔵。
「恥ずかしがらずによく見てご覧よ。どんな格好をしているか私に教えておくれ」
「……っ言わねぇ、ぞ……」
悪意なくさぁ! と誘うニューイの言葉で視線を移すと──夜の窓は室内の様子を鮮明に映し出し、九蔵の羞恥をくまなく煽った。
黒い、長袖のセーラー服。
布地で隠していても丸みのない肩幅が骨骨しく、いやに男らしかった。
かわいすぎない臙脂のリボンがやけに艶めかしく感じる。
長袖で襟元が守られるセーラー服は露出が控えめで、むしろ禁欲的だろう。
「ムフフ。けれど、スカートはずいぶん挑発的な長さだね」
「っ、ぅ……っ」
九蔵が説明しなくとも視線で読み取ったニューイが、ニコニコと笑顔で九蔵の太ももをなでた。
おっしゃる通り。
上は守っていても、生脚が丸見えだ。
白いソックスとスカートの間。
引きこもりらしく白い足だが、しっかりと筋肉のスジを感じる九蔵の脚が惜しげもなく晒されている。
柔らかさよりも硬さが目立つ。
未処理の体毛が、ソックスで隠しきれない部分に薄らと見えていた。
そういう男の脚が黒いスカートから伸びている、アンバランスな魅力。
九蔵はその足をベッドのふちに座るニューイの上で大きく左右に開き、スカートの中で、密かに貫かれている。
当然ユサ、と揺すられるだけでスカートに隠された秘部が覗いてしまって、身動きするのも躊躇するに決まっていた。
「あっ……く…んっ……」
下着を脱がせることなくズラした状態でズプ、と軽く突かれ、唇を噛む。
ご丁寧に、用意されていた女物の下着を着用していたりするからだ。
しかも、ドギツイ真っ赤なショーツ。
ほとんどレース生地のそれは、九蔵の大事な部分を守る気がない。
こんな守備力ゼロの下着を履いているなんて世の中の女性は凄すぎる。逞しい。九蔵はスースースケスケと逆に攻撃されているとすら思った。
そんな姿で抱かれている己の姿を、がっつり窓に写し取られている現状。
夜空と痴態のコラボレーション。
確かに正しく星になっているが、明日には流れ星となり大気圏で燃え尽きているタイプの星だろう。というか今すぐ燃え尽きて死にたい。選択肢をミスった。
──もしかしてこれ、コスプレが一番ヤバいんじゃねぇか……っ?
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