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 いつもより丹念に拡張された尻穴。  指を失った穴は緩く口を開け、縮こまっては呼吸を繰り返す。  固く窄まっていた秘所が濡れそぼり、ヒクついているのが自分でもわかる。  それでも破れない自信はない。  この体の中に、未知の生き物のモノなんてうまく呑み込めるのだろうか。 「大丈夫。悪いことはなんにもないのだ」 『大丈夫。いいことしか私はしないのだ』 (っ……あぁもう……っ)  けれどどれほど不安になろうが──愛しいニューイたちに甘く誘われると、九蔵はいつだって逆らえなくなった。  惚れこんだ王子様の笑顔と、初めてプロポーズをしてくれた深い声。  同時に甘やかすなんて、わかってやっているのなら相当タチが悪い。 「ぅひ、っ冷て……」 『本当に怖くない。私はキミに誓って悪いことなんてしないのである。いつも通りのことをするだけだろう? だから九蔵はいつも通り、力を抜いておいておくれ』 「う……わかった」  どうあがいても許してしまう九蔵の小さな返事に、悪魔ニューイは『愛しているぞ、九蔵』と言って嬉しげに項へキスをした。  冷たい骸骨の歯が当たる。  嫌じゃない。人間ニューイが改めて、九蔵の額にキスをする。  二人のキスで気が緩むと、悪魔ニューイの尖りを帯びた先端が尻穴にあてがわれ、クチュ、とわずかに潜り込んだ。 「……はっ……」  浅い箇所を探る尖り。うねる襞を擦りながら、長く逞しい滑らかな屹立がヌルルル、とスムーズに突き刺さる。  思っているより太くない。  しかし根元に行くほど太くなり、それは最奥までミッチリと腹の中を埋める。  痛みは皆無だ。粘膜は傷つくことなく限界まで拡がっていくが、代わりに臓腑がせり上がる膨満感が苦しい。 「ふっ……ニューイ……俺……」 「あと少しだ。奥に届いたら、それ以上は挿れない……呼吸を止めずに、感じてごらん」 「感じ、っ……んっ……」  脂汗を浮かばせる九蔵が異物感に喘ぐと、人間ニューイが手を伸ばし、九蔵の胸の突起を捏ねた。  乳首で感じるのは恥ずかしい。  だが今は正直気が紛れる。九蔵は胸をよじり、ニューイの指を追いかける。  直視できなくてよかった。見てしまったら怖じ気づく自信が九蔵にはある。  冷たくて妙に長く形が違うモノなんてただのモンスターだ。悪魔だ。デビル・デス・ち‪✕‬こだ。  悪魔ニューイのそれはトロトロと溶けるように絡みつく九蔵の中を拡げながら進み、器用に身をくねらせた。  そしてトン、と最奥をノックする。 『ほら、平気だっただろう?』 「私の見立ては間違いなかった」 「ぁひっ……ぅ……っ」  途端、悪魔ニューイの巨体が覆いかぶさり、深い陰が落ちた。  嬉しそうに顔を覗き込まれる。  巨体なので背を丸めると、九蔵を抱きながら九蔵の様子を観察できるのだ。  悪魔ニューイは両手で包み込むように掴んだ腰をしなやかに揺さぶり、直腸の突き当りを先端でくすぐった。 「ん……はぁ……っ」  下腹部がゾクッ……と粟立つ。  トン、トン、と最奥を柔く押すと同時に腰を引かれ、微かな動きで船を漕ぐ律動がじっくりと九蔵の中を炙る。 『動くよ、九蔵。少しだけね』 「ぁ……っぁ……あぁ……」  悪魔ニューイは九蔵の体を気遣い、そうやって身じろぐように控えめな突き上げをゆっくりと繰り返した。  その気遣いは悪魔的だ。  たまらない掻痒感。  どれほどむず痒くなろうが自分じゃ絶対に掻きむしれない場所を疼かせられると、九蔵はありもしない尿意を我慢しているようなしびれを感じる。

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