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第111話 二人の従者

ラジールが邸に来て数ヶ月が経った。 ラジールは元々要領が良く、理解力もあるためアランが出した課題を驚異のスピードでクリアしていった。 ただ問題があるとしたら…… 「ディラント様!」 俺を見つけたラジールが駆け寄ってきて抱き付いてきた。 アランの教育のかいあって、ラジールの言葉使いも所作も整ってきていた。 ただ俺を見付ける度に抱き付いてくるのはなかなか治らなかった。 あの後、身辺調査でラジールの歳が19だと分かった。 ……19歳でこの行動って。 そう思うと、ため息が出た。 「こら!ディラント様に抱き付くなと何度言えば分かる!」 ラジールが後ろから来たアランに引き離される。 アランも俺が素で接して欲しいと頼んで、アランの努力もあって大分砕けた感じになった。 「ディラント様すいません、こいつには何度も言ってるんですが……」 アランがラジールの首根っこを掴みながら頭を下げる。 「大丈夫ですよ。ラジールに抱き付かれるのはもう慣れました」 「ほら、ディラント様もこう言ってるじゃん!」 そう言うラジールにアランが睨み付けてた。 まだまだラジールの教育には時間が掛かりそうだな。 二人のやり取りを見ていて、そう思って思わず苦笑を漏らした。 「そうだ、ディラント様。旦那様が呼んでましたよ」 アランが思い出したように言う。 「父様が?」 なんだろうと思いつつ、俺はアランとラジールと一緒に伯爵様の元に向かった。

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