1 / 174

第1話

 「嫌だ・・・嫌だぁ・・・」  青年は泣いて逃げようとした。  しかし、ただでさえアルファとは腕力が違う。  その上、このアルファには腕が6本あった。  やすやすと押さえ込まれた。  「オレはオメガじゃありません・・・ありません・・・オレはベータです、だから無理ですぅ」  青年は懇願する。  だが、無理なことはもうわかっている。  発情したアルファは凶暴だ。  オメガはアルファよりも生まれにくい。  アルファはアルファだからこそ、オメガを共用したがらない。  だから、オメガがいないアルファが、ベータで欲望を満たそうとすることがあるのは知っていた。  決して表沙汰にはならないが。    服を引き裂かれた。  紙のように服は破かれる。  簡単に。  凄まじい力だ。  アルファはベータとは何もかもが違う。  その力も頭脳も、外見も。  例え同じ母親から生まれたとしても、アルファとベータ、そしてオメガは全く別もの、別の生き物なのだ。  子供を産むのはベータの女性とオメガだけ。  そして、アルファと性交できるのはオメガだけなのだ。  数百年前、どこからか突然現れた異形の化け物達は人類を易々と支配した。  ただ彼らは、彼らの雌を失っていた。  だから彼らは人類の一部を品種改良し、自分達の子供を産めるようにした。  それが、オメガだ。    今は血は入り乱れ、異形の化け物として生まれたものはアルファ。人類はベータ、そして、改良された人類の姿で生まれたものはオメガと分けられるようになった。  今でもこの世界を支配する化け物であるアルファ達は、生まれてすぐに集められ支配者として育てられる。  オメガも、支配者のためのものとして、集められ、別に育てられる。  ベータだけは。    人類がしてきたような生活をそのまま続けている。  世界は化け物達が現れる前とそれほど変わらなくなった。  違うのは。  支配者がいることだけで。  アルファに支配されている、それ以外は世界は、支配される前とそれほど変わりはしなかった。  だが。  やはり支配された世界なのだ。  世界の大部分を占めるベータにとっても。  普段は気付かないだけで。  こうやって。  アルファが望めば犯されるのだ。  「無理です・・・無理ぃ・・・」  青年は悲鳴をあげた。    青年を組み敷くアルファの肌は真紅だった。      6つの腕はたくましく、8つの目は鮮やかなグリーン、そして、背中に生えた翼、鷲のような鈎爪のある脚も真紅だった。  巨大な身体。  その外見の恐ろしさより、青年はそのアルファの股間からそびえ立つソレに怯えた。  人間のモノとは比べものにならない。  恐ろしい凶器。  瘤と突起が、禍々しい。  それを後ろの穴に押し当てられたからだ。  人間の女性でも無理だとわかる。    男性ならなおさら。    逃げようと腰を揺らすたびにその、凶悪さを実感した。  「無理ぃ・・・無理ぃ!!」  青年は泣く。  これを受け入れられるのは、そのために改良された性器と身体を持つオメガだけなのだ。  オメガの生殖器と排出腔を兼ねるそこは、人間のモノとは耐久力や伸縮性が違った。  そのために創られたのだから。  オメガは。  「許して下さい・・・」  青年は泣いて懇願した。  こんな死に方は嫌だ。  アルファに犯されて引き裂かれて死ぬなんて。  なんでオメガがいないんだ。  オメガはコイツらを満足させて、他の人間に迷惑をかけないためにいるんだろう。  「殺してからされたいか?それならそうしてやる」  アルファは慈悲深く言った。  発情期を耐えるためには。  誰かを抱かずにはいられない。  オメガを手に入れられなかった。  うまれる個数が少なすぎる。  センターには性交可能な個体がいなかった。  他のアルファから奪おうとしたが、奪われる位ならアルファは自分のオメガを殺すのだ。  アルファは死なれたオメガさえ、喰ってでも他のアルファに渡さない。  結果、貴重なオメガが死んでしまっただけだった。  多分。  これは問題になる。  オメガの取り合いは御法度だ。  何らかの処分は受けるだろう。  そこは覚悟しておかねば。  だが、今は。  「殺さないで・・・」  青年は泣いたが、その選択肢だけはなかった。  何故ならアルファは欲望を遂げたかったからた。    でも。      青年の唇を塞いで唾液を注ぎこみ、死ぬまで感じられる身体にはしてやった。  アルファの唾液は、脳内の麻薬の多量分泌を促す。  青年はとろんとした目になり、身体の力がぬける。  その身体の後ろの穴にゆっくりと突き立てた。  穴を引き裂き、中を引き千切り、その肉の感触をアルファは楽しんだ。  「ああっ・・・いいっ・・・」  アルファの唾液により、脳内から多量に出た麻薬のおかけで青年は貫かれ殺されることを快楽と感じた。  引き下がれた穴から血液をダボダボとこぼしながら、性器を勃起させ、白濁をその先から吹き上げる。    「ぎぼぢ、いい、いい、いい!!!」  青年は叫ぶ。  涎も涙も鼻水も垂れ流して。  腰が揺れていた。  血が飛び散る。    ブチブチ  アルファが乱暴に動く度に、青年の肉は身体の中で引き裂かれていく。    アルファはその肉を堪能する。  アルファとの取り合いで失ってしまったオメガがいた時以外では、ベータの男を使ってするのが一番いい。  オメガの身体とは比べようがないが、ないよりはいい。  ゆっくり動いて、腸が弾ける感覚を楽しんだ。  人間は、アルファには小さい。   オメガも小さいが、オメガの穴は特別だ。  巨大なアルファのモノを受け入れながら、破けることなく、良く締まる。  あれが恋しかった。    子宮の入り口で先を吸ってくるあの感じ。  でも、今はこれでもいい。  引きちぎる肉。  暖かい血だまり。  その感触をアルファは楽しんだ。  へぐじぃ    ぐへぇ  青年は血を吐いた。  そして動かなくなった。    青年は最後までもたなかったがそれは構わなかった。  昔飼ってたオメガにしたように、舌を吸い、首筋を噛み、腰を叩きつけて、楽しみ、何度も何度も放った。  最後は腹の皮膚が破れて、性器が突き抜けてしまったが、その突き破る感触は、嫌いではなかった。  死んだ青年の開いたままの目を閉じてやることもわすれなかった。  仕方ない。  仕方ない。  オメガさえ手に入ればこんなことをしないですんだのに。  数ヶ月に一度の発情期。  これは仕方ないことだ。  アルファは思い直して、青年の脚を担ぎ上げ、もう一度始めた。  今のうちに。  沢山しておかないと。  またベータを殺したいわけではないのだ。    

ともだちにシェアしよう!