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第13話
八尋はされるがまま拓斗を見ていた。
「乳首、あんまり感じないんだね」
「そ、そうかも。ちんこ舐められてる方が気持ちよかった」
「ほんと、素直だね。そういうところ好き」
拓斗は指で乳首を刺激しながら、首筋、胸とキスをしていく。
「こうやってゆっくり愛撫するとだんだん気持ちが上がっていくんだ。いきなり激しくとかより、気持ちを上げてからの方がいいんだよ。中も傷つけずに済むし」
「昨日はあんな急に激しくしてたのにか?」
「あれは慣れてるからだよ。それに、そういうプレイだから」
プレイの一環、じゃないときっと成り立たない。
「なあ、拓斗は俺のどこが好きなの?勉強教えてっていうまで、ほとんど話したことなかったし」
拓斗は優等生で頭悪くいつでもふざけてる俺みたいな人間とは関係なんて持てるわけがない。
「俺頭悪いし、お前なんかと付き合いあるなって知ったら教師から良い目で見られないだろ」
「だからだよ。頭悪いし、先生に怒られそうだし」
拓斗は上目づかいで言った。
そうだ、こいつはドМだ。
八尋を怒らせて、先生も怒らせてひどくしてほしい、そういう奴なんだ。
八尋は拓斗の背筋をそっと撫でた。
拓斗はピクリと体を動かし、八尋の顔をうかがうように見てほほ笑んだ。
八尋は拓斗の唇を親指でなぞり、口に入れた。
すると拓斗はその指をいとおしそうに舐め始めた。
あー、こいつ。本当に。
八尋の頭にあった自制心が切れてきた。
あれはやめた方がいい、これはやめた方がいい。
そういうものは拓斗にはない。
解放された拓斗はためらいもなく、指をなめたり吸ったり。
フェラをするように指をなめた。
「教えるなんて嘘だろ?」
八尋は拓斗を押し倒し、覆いかぶさった。
拓斗は興奮気味に息を吸い、吐き出した。
酷いことをしたい。そんな思いが芽生えるとは思わなかった。
「本当の俺をわかってたんだろ?」
「うん」
破壊衝動。昔からあったけど、世間的、親から止められ、先生から止められ抑えてきた感情。
ずっと……
「小学生の頃のこと覚えてる?」
拓斗は指をくわえながら話す。
「何のこと?」
八尋は指を引き抜くと拓斗は微笑んだ。
「ショッピングモールの人気がない場所で父が僕の頭をぶったんだ。僕はその日テストの点数が悪くて、父は何も言わずに突然殴った。家でもできないから。母にはそんな姿を隠してたから。そしたら、八尋がさ、父の足を蹴って股間を殴ったんだ。「子供に暴力ふるうな」って。その時、きゅんとした。八尋に股間殴られてる父が羨ましかった。
そしてその後君は僕にも怒鳴った。「黙ってるなよ」ってそれにまたぞくぞくした。君に怒鳴られてるのはうれしかった。それまで殴られてるのは嫌だったのに、喜びに変わった」
拓斗は、八尋の頬に手を添えた。
「覚えてないよね」
八尋は生唾を飲み込んだ
「覚えてる。あれ、拓斗だったのか」
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