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第12話

「引いた?」 拓斗が天井を見たまま言った。 八尋は拓斗を見ると、横顔はすこし困っているように見えた。 「引くって、何を?」 「そりゃ、まあいろいろ」 八尋も黙って天井を見た 「拓斗は、俺のこと好きなんだよな?」 「うん」 すぐに返事は帰ってきた。ためらいもなくまっすぐだなと八尋は思った。 ただ気持ちよかったから。勉強教えて欲しいから。あわよくば発散できれば。 そんな不純な気持ちしかない自分とは大違いだ。 拓斗の事は嫌いじゃないし、好きかといわれるとそうじゃない気もする。 友達以上、セックス未満の仲だと言っても、まだ拓斗のことをよく知らない。セックスがうまいという事はわかった。頭がいいというのも、どこか闇を抱えていそうだというのも。 「拓斗は、どれくらいお小遣いもらってるの?」 八尋が聞くと拓斗は八尋にめを向けた。 「今はもらってないよ。昔はもらってたけど、今は自分で稼げてるし」 八尋は起き上がった。 「稼いでるって何で?」 「秘密」 拓斗は唇に人差し指を当てた。 「もしかして、動画売ってるとかじゃないよね?」 意を決して聞くと、拓斗は軽く笑った。 「それはないよ、そんなことしてるなんて親に言えないし。言えないとお小遣いもらわない理由にはならない。まあ、でも似たようなものだけど」 拓斗はそういうと、起き上がった。 「さて、さっきの続きしようか」 こんな短時間で回復するのかという疑問が浮かぶが、それより。 「もう一つ聞きたいんだけど」 「なに?」 拓斗は首を傾げた。 「家で何か辛いことがあったりする?」 拓斗が昨日の最中や、事後やたら誤ってきたことが気になっていた。 「昨日、したあとすごい誤ってただろ?最近よく聞く毒親とかそんなんでとか、思ったんだけど」 八尋が言うと同時に、拓斗は八尋の腰を撫で体を寄せ、唇を唇にくっつけた。 何度も唇をついばみ、舌が絡んでくる。 それはごまかすような行動。言いたくないなら聞かない方がいいのかもしれない。 八尋は拓斗の腰に手を回しキスを受け入れた。口の中を滑る拓斗の舌がここちよい。 濃厚なキスの後、唇が離れた。 「家の親さ、何も言わないんだよ。テストの点が悪くても、いい点を取っても。でもさ、悪い点撮ったり、成績が下がると無言の時の威圧感が半端ないんだ。背筋が凍りつくようなそんな感覚。怖くて動けなくなる。謝りたいけど、口を開くこともできなくなるんだ」 拓斗は八尋の肩におでこを乗せた。 「八尋の家でも同じ?」 「うーん、うちはテストの点が悪いとすごい怒られる。けど良かったら異常に驚かれるかな」 「だよね、普通……」 拓斗のため息が聞こえた。何か心をえぐっている気がして八尋はなんとか話を変えようと考えていると、拓斗は顔を上げた。 「まあ、それがちょっと辛いだけだから」 と拓斗は八尋のシャツのボタンに手をかけ、一つずつ外していった。 「拓斗?」 「じっとしてていいよ、教えるの上手いんだから。知ってるだろ?」 外されたシャツの間に手を入れ、素肌を手の指がそっと撫でてくる。 「八尋ってさ、お人よしだよね。それにすごく素直。僕にされるがままでさ、気持ちよくなってイっちゃうんだから」 そういって拓斗は、シャツをめくり胸で刺激を待つ突起に唇を這わせた。

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