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第2話(4)
「ちょ、ちょっとどこ?!ここ?!へんな格好した奴いっぱいいるんだけど?!」
黒髪で小柄な青年が動揺しながら隣にいる茶髪で同じく小柄な青年の肩を掴みガクガクと揺らす。
「こ、ここって…」
茶髪の青年は呆然としながら辺りを見回して呟く。
動揺はしていたのはこちらも同じだった。家臣たちや私の部下たちも驚いた様子だった。無理もない。女神が2人も現れたのだから。
茶髪の青年は目の前にいる王子の姿を見ると、突然固まってしまう。そして顔を真っ赤にして今度は慌て出す。
「え?!え?!え!!?!!!???
なんで???どうしてここに王子が…??!!」
「おかしいな。女神様は本来一人しか召喚されないはず…。
お2人とも実に可憐でお美しい青年であられる。これは女神様の中性的な美青年であるという特徴に当てはまります。」
茶髪の青年は王子の言葉に耳まで真っ赤に染まる。黒髪の青年の方は状況が読めないのか顔が真っ青だ。
王子は言葉を続ける。
「しかし失礼ですが、どちらかが1人だけが本物の女神様であるはずです。
女神様は自らを純潔に保ちこの世界を浄化してくれるという伝承があります。つまり、女神の証として純潔を保たれている方はどちらでしょうか?」
初対面の相手にとても不躾な質問ではあるが、女神を判別するには直接聞くしか無いだろう。
2人の青年は王子からの質問にキョトンとした顔をした後、茶髪の青年が間髪入れずに勢いよく挙手をして叫ぶ。
「俺です!!!!俺が主人公…じゃなくて、女神です!!!多分!!」
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