9 / 30

第2話(5)

その言葉におお!と家臣たちの歓声が響く。 黒髪の青年はハァ?と更に困惑した表情になる。 茶髪の青年は黒髪の青年を指差し話出す。 「こいつは少々尻が軽くてですね!もうすでに体の隅々を開発し尽くしていて、とてもじゃないですが女神とは呼べない汚ねえ身体でしてですね!!反対に俺は今までずっと童貞だったので!!超純潔な身体なんです!!!」 他人を下げて自分の評価を高め始める茶髪の青年に黒髪の青年は困惑した表情から一転、ハァ???と叫び、今にも怒りだしそうな表情になるが、状況が読めないからなのか、特に続けて何かを発することはなかった。 王子は茶髪の青年の意見を受け入れることにしたのか、茶髪の青年に手を差し出し微笑みかける。 「かしこまりました、それでは貴方様が我が王国を救うべく参られた女神様であられるのですね。 私はビエンルン王国の第一王子、アスラン・ド・ビエンルンと申します。 嗚呼、どうかこの国を脅かしつつある悪魔の瘴気を払い、我が国に安寧をもたらしください。」 茶髪の青年の手を取り、熱い視線を送る。王国を想い熱く語っていらっしゃるのだろうが、茶髪の青年が私が知っている王子の好みの見た目である為か、私の目には少々下心があるようにも見える。 「は、ははははい!!!王子の為なら瘴気でもなんでも払って精気溢れる国にしちゃいます!!!!」 茶髪の青年は興奮気味に王子の手を握る 「おお!なんて頼もしい…!!では早速女神様に相応しいお召し物やお食事をご用意しておりますゆえ参りましょう。」 「あ、こちらの汚れた方はどうなさいますか?」 と、王子は黒髪の青年を見る。汚れた方とは…彼も暫定的に女神様ではなくなったとはいえ同じく召喚された方をそのような失礼な呼び方をするとは… 女神様となった茶髪の青年はうーんと考え、 「あーそいつは俺の弟子だから、そいつももてなしてやってくだい」 「はい。お任せください女神様。レオンハルト、お弟子様のお世話はお前に任せた。 女神様、早速ですが城を私が御案内いたしましょう」 王子と暫定的に女神様となった茶髪の青年はそのまま2人でこの場を去って行った。家臣たちも女神と王子の後を追う。 お、押しつけられた…… 黒髪の青年に目をやると何がなんだかと言った表情である。 はあ……先行きが不安で仕方ない。

ともだちにシェアしよう!