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第3話(1)
「くっそ…いつアイツの弟子になったんだっつーの…」
ぶつぶつと何かを呟いている女神の弟子と2人きりになってしまった。なんだか少し気まずいがこのままにもできないだろう。
「お弟子様、よろしければお部屋をご用意いたしますので、その間お食事はいかがでしょうか」
「あ、風呂なんてあんの?コスプレバーとか思ったけど、そういう店なの?じゃあ風呂にしようかな………って」
女神の弟子は私の顔を見て驚いた顔をする。
「受川がやってたゲームのノンケ……!?」
げーむ?のんけ??彼はよくわからない単語を発する。女神の世界での言葉だろうか。
女神の弟子だと言う黒髪の青年は顔を寄せてくる。
彼の大きな瞳や長い睫毛、色白な肌、男とは思えない可憐な顔立ちでたしかに彼からは伝承の女神の特徴を見受けられる。王子がどちらか迷うのも無理は無いだろう。
それにしても、彼からはなんだか酒の匂いがする。
「へえ〜コスプレってイケメンがやると結構サマになるもんなんだなぁ〜はあ〜さっきの王子もだけど衣装とかよく出来てんな〜!
やっぱ俺たちって、間違えてコスプレ風俗に入っちゃったんだよな??君スタッフでしょ?風呂ってことは、ここってエロいサービスとかやってんの??」
美しい見た目とは想像もつかないような口調で私をジロジロと見つめながら話し出す。
「受川も酷いよな〜!俺が一瞬意識飛んでる間にゲイバーからコスプレ風俗にはしごするなんてさ〜、たしかにあのノンケキャラ好きとは行ったけど内緒で見た目そっくりのイケメンのタチまでつけてくれるなんて!」
「…何を仰っているのかわかりませんが、とりあえず湯浴みの場所までご案内いたします。」
呆気に取られていたが、何とか言葉を絞り出す。
「はーい!よろしく!」
「!」
ぴょいっと私に飛びつき、腕を絡めてくる。男にこんなことをされるのは不快だ、当たり障りがないようそっと腕を振り解く。
が、余計腕を強く絡めてくる。
「?いいじゃん別に〜、嫌なの?」
彼は腕を絡めたまま、私の方を上目遣いで見つめてくる。彼から酒の匂いに混じり甘い香りが漂ってくる。
先ほどから思っていたがこの男は酔っているのか?
潤んだ瞳と目が合い、ドキッとした。
「……困ります。」
「あ!そっかキャラのノンケ設定守ってるってことか!すげー!手が込んでるんだなあ!」
何故か分からないが勝手に納得したようで、彼はヘラヘラしながら腕を離して後ろをついて来る。
なんだか調子を狂わされる……
「こちらで湯浴みを行えます。すでにお召し物など準備は出来ておりますので、私は外でお待ちしています。」
「え??!一緒に入るんじゃないの!?」
「…は?」
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