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第1話
もう嫌だ、どうして僕ばかりこんな目に合うんだ。僕が悪いのか?悪いのだとしたら何が?
考えても答えは出ない。堂々巡りでどんどん死にたくなってくる。
そうだ、僕は死んだ方がいいんだ。
「おい!とまれよ!!」
走って逃げる僕の後ろからクラス生徒数人が追いかけてくる。
追いかけっこをしてるわけではない。そんな楽しいものじゃない。
僕はいじめられているのだ。
捕まったら髪を掴まれ地面に頭を打ち付けられる。そしてけられ殴られ、それ以上は考えたくもない。
僕はとにかく走るしかなかった。逃げてどうにかなったことはない。けど痛いのはもう嫌だ。
こうして走っている間にも後ろから怒号が聞こえてくる。
しかし、なにやら笑い声も聞こえる。
何かと振り返るが、これもまた答えは出ない。
しかし、前を向くとその答えが出た。
前から他のクラスメイトが走ってくるのが見える。
挟まれた。
間に曲がれる道もない。
周りを見ると、家が並ぶ中に廃墟の様な建物がでかでかと立っている。工事用なのか白い仕切りが作られているが、その一か所に隙間ができてた。
僕は意を決しその中に入り込んだ。
中は大きな倉庫があるが、それはすたれていて今は使われていな様だった。
静かな中にクラスメイトの声が聞こえる
「ここに入ったぞ」
僕は慌てて倉庫の中に入った。
中はがらんとしていて中央に木の箱が置いてある。その上には手のひらサイズほどの木の塊があった。
壁の角の方に唯一隠れられそうなロッカーがあるが、そんなところに隠れても見つけてくれと言っているようなものだ。
すると奥に部屋があった様でそこから足音が聞こえた。
「誰だ?」
声は男性。だが、頭に黒い布を巻き、口元も黒い布で覆い隠されている。服も黒くダボっとしていて体格がわからない。
その左手にナイフがきらりと光ったのが見えた。
「ひっ」
思わず声を上げると後ろからクラスメイトが入ってきた。
再び挟まれた。
逃げ場なく立ち尽くしていると。
「もう逃げられねーぞ」
クラスメイトは外で拾ったのだろう、角材を持っていた。
まだ黒ずくめの男には気づいてない様子だった。
倉庫内が暗いのだから仕方ない。
あんなものでぶたれたらたまったものじゃない。
でもナイフで刺されたらケガじゃすまない。
全身黒ずくめの男が歩み寄ってくる音が聞こえた。
クラスメイトもそれに気づき、少し後ずさった。
「なんだよ!邪魔すんな!」
声は大きいがおびえているのが分かる。
頭も口もおおい、目しか見えない相手なんて恐怖があってもおかしくはない。
「おい、あいつナイフ持ってるぞ」
「やばくねーか?」
やっぱりやばいのか?と男を見る。
男の眼がきりっとこちらを睨み、威嚇された気がして足が動かなくなった。
「逃げるぞ」
とクラスメイト達は慌てて逃げていく
僕は動けず冷や汗だけが流れた。
男はため息交じりに息を吐き、中央の木の箱に座った。
そしてナイフをちらつかせる。
「どうした?いじめか?」
「え、あの、そんなことは……」
うまく言えず声が上ずった。
「ああ、これにビビってるのか」
と男はナイフを木の箱に置いた。
そして顔を隠していた布をはぎ取り、頭の布も取った。
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