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第8話

「和樹さんには、いろいろ教えてもらいました。手取り足取り、それはもういろいろ……」 と言うと、和樹は慌てた。 「ちょっとそんな意味深な言い方しないで!動画編集の仕方と、ゲームでスポーツフィットネスの動きを教えただけだから!」 和樹が二宮にすがるように言うと二宮は和樹を睨みつけた。 「へー、じゃあ、今日一日和樹は汐音と一緒にいたってことか?」 「そうだよ、そして何もしてない!」 「わかった」 と二宮は和樹と唇を交わした。 目の前で起こっていることを理解するのにそう時間はかからなかった。 和樹がゲイで、一緒にいて、僕の心配をしてくる。 その時点でこの二人にはこういう関係があるのではないかと予想はしていた。 「汐音、一応俺たちはこういう関係だから。もし何かあったらすぐに伝えるんだよ」 「はい、あ、今日、編集するときゲイのAⅤの音声が流れてたけど、それはいいのかな?」 思い当たるふしを話すと、二宮は和樹の顎をクイっと持ち上げた。 「何かいう事は?」 二宮が言うと、和樹は頬を赤らめた。 「その、この前の行為を動画に収めてたので自分用に編集してました。ごめんなさい」 それを見て二人の立場を理解した。二宮さんの方が権力が強い。 けど、たぶん強引というよりSMのような、演技がかってるというか、そういう関係を楽しんでいる。そんな感じだった。 それより、この前の行為? 「ということは、あの喘ぎ声って和樹さんので、攻めの声は……」 それを聞いて二宮はぐっと和樹の胸ぐらをつかんだ。 「お前なんてもの聞かせてるんだよ」 「操作を間違えたんだよ。保存しようとしたら再生されちゃって」 「どうやったらそこを間違えるんだよ!?本当そういうところ抜けてるんだよな」 二宮は和樹を投げ出し、こちらに向き直った。 「すまない、変なところを見せて。さらには如何わしい音声を聞かせてしまって。本当に申し訳ない」 「いえ、いろいろ教えてもらったのは確かで、ゲームとかとても楽しかったです」 「それならよかったよ、本当に何かあったら俺に言ってくれていいからな」 二宮が言って一息ついた。 「食べようか」 と牛丼を示した。久しぶりに楽しい夕食だった。 一人で食べるのとは違い、味をしっかり感じられて二人との時間はとても楽しかった。 名残惜しい気持ちを残し家に帰ると、まだ両親は帰っていなかった。 それでもかまわなかった。楽しかった時間が、帰ってからの寂しさに勝っていた。 次の日は学校に向かった。これは二人の指示だった。学校に行った方がいい。 やはりそれが大人の考えだった。 でも他の大人と違って対策はいろいろ考えてくれて、ICレコーダーも貸してくれた。 何かあったら必ず録音しておけと。それだけでも心強かった。

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