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第十三章・8

 車内はエアコンを付けているのに、暑くなる一方だ。  質のいいシートに秀実は仰向けになり、正常位で士郎を迎え入れていた。 「あ、あっ、あッ! んあぁ、はぁ、はぁッ!」  二人でぴったりと密着し、淫靡に腰を使う。  秀実の腕は士郎の背中にまわされ、両脚で腰にしがみついていた。 「ッ、くぅッ! は、あぁあ!」 「秀実、イッた?」 「はぁ、はぁ、は、い……ッ」 「これで二度目だな。スキン、大丈夫かな」 「士郎さん、早くぅ……」  私がイかなきゃ、終われない、ということか。 「いいよ、秀実。ちょっと早いけど欲しいもの、いっぱいあげよう」  士郎の腰突きが、細かく激しくなった。 「んんぁあ! やぁ、あ! はぁ、あんッ!」  まさか、こんな。  車の中で、だなんて!  倒錯した思いも手伝って、秀実はさらに熱く駆け上がって行った。 「さ、イくよ。秀実」 「あ、はぁ、あ! っく、ぅあぁあ!」  士郎の精が、秀実の体内に濁流となって流れ込んだ。 『ミチルさんは、彼氏いるんですか?』 『いるよ。お金持ちでイケメンの、素敵な彼氏』  ミチルとのやり取りが、なぜか秀実の頭をよぎった。 (でもミチルさん、僕はどんな人より素敵な彼氏がいます)  快楽に身をゆだねながら想うことは、そんな士郎の自慢だった。  今のミチルが、どんなに手を伸ばしても掴めない男のことだった。

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