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第二十章・6

 残された秀実は、士郎にすがった。 「士郎さん、近藤組は解散しちゃうんですか!? 皆、ばらばらになって、いなくなっちゃうんですか!? 「秀実、まずは落ち着いて。車を駐車場に入れて、部屋へ行こう」  先に帰ってなさい、と士郎は秀実を置いてプジョーに乗り込んだ。  駐車場内に車が入って見えなくなると、秀実はとたんに心細くなった。  マンションへ入り、士郎に貰った合鍵で部屋に入る。 「士郎さん、疲れてたみたいだから」  バスタブに湯を注ぎ、すぐに入れるように準備した。 「ただいま」 「お帰りなさい、士郎さん! ……って、さっきまで一緒だったのに」 「ははは、確かに。いや、何となく言ってみたくなって」 「お風呂、今お湯を入れてますから」 「ありがとう。一緒に入るか?」 「はい!」  即答だった。  先ほどの話の詳細を、早く聞きたかったのだ。  湯に浸かりながら、士郎の口から説明して欲しかった。

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