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プロローグ

「よく言うだろう? 『小石を隠すなら、砂浜に。木の葉を隠すなら、森の中に』ってね? ん?初めて聞く言葉だって?嗚呼、そうだったね。えーと、誰の言葉だったかな?え?俺じゃないかって?いやいや、俺はこんな立派な言葉は逆さまになったとしても出てこないさ。 そうさな、意味は何かって?んんー教えてやっても良いがそれじゃあ面白くないだろ?」 ―見つけてみな、自分で。 と、男は猫のように目を細めて小さく笑う。 少し人を小馬鹿にしたような笑い方に、リカルドはむっ、とするが聞いても応えてくれないことはわかっていたため、むすっとしたまま頷いてみせた。 そんなリカルドの頭を撫でながら、くつくつと何がおかしいのかわからないが、笑みを浮かべながら「賢い人間になれよ?そしてー」 《俺をみつけてみろ》 と、声なき声でそう口にした。 それ以来、上司であり、想い人でもあったレヴィンは彼の前から忽然と姿を消したー 国王暗殺未遂及び、国家反逆罪で捕まる前に、まるで最初から存在しなかったかのように霧のように王都から姿を消した。  

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