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「っ……!」 今にも泣き出しそうなくらい両目をうるるんさせた柚木は息を呑む。 胸元に顔を埋めた比良の片手が、今度は肌伝いに半ズボンの内側にまで潜り込んできて、顔を真っ赤にした。 「っ……それ、復習じゃない」 「うん……?」 「そんなこと、比良くん、前はしなかった……」 集中的なキスに応えてぷっくりと張り詰めた胸の尖り、健気で愛しくて、思いの丈を唇で綴っていた比良は上目遣いに柚木を見た。 「そうだな、こんなことするの、初めてだ」 トランクス越しに初心な熱源をそっと抱いた掌。 「っ……ぅぅ……」 「少し硬くなってる……な」 「い……言わないで……」 「指摘されたら恥ずかしいか?」 「……前にも言ったけど報告も感想も実況も不要です……」 片腕で顔の上半分を隠した柚木は事細かなコメントをやめるよう懇願した。 恥ずかしがるへっぽこオメガの気持ちを汲み取って発言を自重するかと思いきや。 「此処はもう濡れてるみたいだ」 最早悪癖なのか。 中指の先を布地に浅くめり込ませ、双球と後孔の間に位置する柔らかな亀裂をなぞって、比良は率直に現状を述べた。 「柚木の愛液が染み出してる」 (……比良くんってコメント魔……?) 「……ぁ、ぅ……」 めり込んだ指先がふくよかな(ひだ)を割り、探り当てたクリトリスをゆっくりと刺激する。 指腹を押し当てて第一関節から先だけを器用に動かす。 コリコリと膨れて敏感化した肉芽を擦り立てた。 「柚木、どっちが感じる……?」 半ズボンの内側で悩ましげに中指を蠢かせ、胸元へのご奉仕も忘れていない比良は同じく敏感になった突起に舌尖を絡ませた。 唾液を塗りつけられて色味が増した乳首にここぞとばかりに構う。 まるで蜜を吸い出すように強めに啜ったりもした。 「ん……っ……っ……っ……!!」 余念のない二点攻めに柚木は軽く達した。 薄い胸と貧弱な腰を反らし、半ズボンの中に潜り込む比良の腕を咄嗟に掴み、序盤の恍惚に全身を微痙攣させた。 「今、いったか……?」 一旦、前戯を中断して顔を覗き込んできた比良に問われる。 顔を上気させた柚木は、ホテルのときと同様にコメントをやめてくれない彼からぷいっと顔を逸らした。 「……教えない……」 若干不貞腐れているオメガに比良の愛情メーターの針は吹っ飛んだ。 止め処なく込み上げてくる愛しさに脳天を揺さぶられ、下肢に溜まりゆく熱がより一層増して、我知らず喉を鳴らした。

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