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自分が与える刺激に忠実に反応する柚木を見、比良は口元を綻ばせる。
(比良くん……ちょっと落ち着いてきた……?)
続けられる指姦に感極まって朦朧となりながらも。
柚木は比良の変化を見逃さなかった。
部屋のドアを開けたときは険しげだった表情が柔らかくなっている。
決して中断してはくれないが触れ方も優しく、献身的で、正気を取り戻しているように感じられた。
(もしかしてラットが終わった……?)
長引く場合は半月ほどと聞いていた柚木、短い場合を知らず、ひょっとすると数十分という短さで発情期が終わったのかもと淡い期待を抱いた。
(最後まで進む必要ないかも?)
だが、しかし。
「……ウヒィ……」
あれよあれよという間に服を脱がされ、パンツも、おまけに靴下まで蔑ろにされた。
暖房が程よく効いた薄暗い部屋、すっぽんぽんにされた柚木はさすがに耐え兼ねて羽毛布団に包まった。
「柚木」
(ほんとに? ほんとに最後まで?)
「まだ怖いのか?」
(覚悟したくせに、このへっぽこオメガめ)
……おれ、どっちつかずだ。
……こんな状態で発情期なうの比良くんと。
「そんなに嫌か?」
布団の中で柚木はオモチャを没収された幼児みたいに口をヒン曲げる。
「俺の他に大事なアルファがいるのか?」
比良の問いかけを耳にした瞬間。
眞栖人の不敵な笑顔が脳裏に溢れた。
「ぅっ、ぅっ、ぅっ……」
「柚木、泣いてる……?」
(おれのぜんぶがバラバラになりそーだ)
自分自身にうそをついた。
女王サマには見抜かれた。
おれはうそつきのドへっぽこ最低最悪あほあほオメガだ。
(比良くんも眞栖人くんも、どっちも好きなんだ)
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