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「っ……眞栖人くん……おれ、ずっと……いってるみたい……」 「ああ。知ってる」 「ずっと……(あつ)ぃ……」 「ああ。俺もだ……」 不意に中断された指姦。 引き留めたがるように増していた締めつけを振り払い、離れていった指。 「……ぁ……」 代わりに訪れたのは比良の。 隆々と育ちきったアルファの昂ぶりが入り口に押し当てられた。 「柊一朗の次は俺だから」 奥二重まなこどころか思考までふやけていた柚木に、かろうじて届いた眞栖人の声。 理解する前に比良の声が降ってきた。 「柚木。二十歳まで待てなくて悪かった」 「ひ……比良くん……」 「君を求め過ぎて……すまない」 体の芯までぐずぐずになる、世にも甘美な響きを伴う謝罪にオメガは痺れた。 双子二人がかりで蕩けさせた入り口が兄の熱源に押し開かれる。 序盤の抵抗を征服したペニスの頂きがナカへ、蜜穴を拡げ、内壁のせめぎ合う蜜壺へ挿入(はい)ってきた。 「っ……っ……っ……!!」 柚木はぎゅっと目を閉じる。 比良によって左右に開かれた両足の爪先があからさまに力んだ。 「ほ……ほんとに……比良くん……おれに挿入ってきちゃった……」 拙い独り言を無意識に呟いた柚木に比良は律儀に頷いてみせる。 「少しだけ柚木のナカに挿入った……」 「も、もういい、そこでストップ、進入禁止ぃ……」 「……」 「ぁぁぁっ……おれ……ストップって言ったぁ……」 指とは桁違いの存在感。 収縮する蜜穴内、肉襞を掻き分け、ちょっとずつナカへ突き進もうとしているアルファのペニスに柚木は堪らず背中を反らした。 「さ……裂けてる……これ……絶対裂けてる……っ」 ムードクラッシャーばりに喚くへっぽこオメガに比良はまた律儀に返事を。 「裂けてないよ、柚木……君のナカがびっしょり濡れてるから……ぬるぬるしていて、潤滑剤になって、俺のペニスを案内してくれる……」 案内なんかした覚えがない柚木は口をへの字に曲げた。 「もう少し……」 「ッ……ら……らめ……」 「は……ぁ……」 「ッ……ッ……ッ……ンぅぅ、ぅ、ん……ン」 いつになく艶めいて聞こえる比良の吐息。 鉛じみた熱源で蜜穴を支配しようとしている傲慢な振舞に反して、切なげで甘やかな声音。 番のアルファとの交わりに胎底が猛烈に疼き出し、柚木は、もどかしげに身を捩じらせた。

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