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※第40話
「じゃあ、質問」
美風がそう言うと、アリソンの片眉が怪訝そうに上がった。
「……なんだ?」
「その……エッチで補給するっていうのは、えっと……」
「粘膜からの摂取となるから、結合部からだな」
言い淀んでいると、アリソンがすかさず補足してきた。美風は苦笑しながら「どうも」と呟く。
「それで口から取るのと、セックスで取るのとではどっちが危ない?」
どっちもは無しだと念を押すと、アリソンは諦めからか、軽いため息を吐いた。
「そうだな……口からだと自分から吸おうとする意思も働くから、口と血は危険だ。だがセックスは本当にどうなるかは分からない」
「じゃあセックスしよう。少しでも可能性があるならさ。アリソンは今は体力なくて辛いかもしれないけど、このまま放っておいて更に魔力が減ったら取り返しがつかなくなるだろ? だから、その一応協力はしてほしいけど」
もう形振 りは構っていられない。セックス、セックスと連呼してしまっているが、アリソンの事を思うと羞恥も消える。消えるが、初めてのセックスが義務的なことになってしまっているのが、少し悲しい気もした。
「……何でそこまでしてくれるんだ。自分の命も危ういかもしれないというのに……」
腕を上げる行為も辛いはずなのに、アリソンは美風の頬を優しく包んだ。美風はその手に頬を擦り寄せる。
「アリソンだからだよ。たくさん助けてもらったし、支えてももらってる。アリソンじゃなかったらこんな風には思わない」
これが愛情なのか、それとも同情だったりするのか。どちらにしても、これだけははっきりと分かる。アリソンがとても大切なんだと。
「キスがしたいな……」
アリソンは悔しそうに笑う。
生気を目的としないキスが出来たらと、お互いに悔しさを滲ませながら、今は我慢だと美風はアリソンを抱きしめた。
「アリソン……ん……まだ……?」
「まだだ」
セックスに関しては美風はまるっきりの初心者だ。男女間でのセックスなら経験がなくても知識はある。でも男同士は未知の世界だった。
結合部と言われて理解していたとはいえ、実際秘められた部位を暴かれるのは羞恥を覚えた。
アリソンの顔を跨ぐ形で、アナルを舐められている。汚いと拒否をしたが、全く受け入れてくれず「ミカの身体を愛したい」などと言ってくる始末なのだから。
「ミカ、逃げるな」
「だ、だって……。やっぱり解すなら自分でやるからさ……アリソンだってしんどいだろ?」
「ミカと繋がる大事なところは俺が解す。少し辛いだろうが我慢してくれ」
「……」
辛いのはアリソンだろうがと口にしたかったが、何かが挿入される感覚に驚き、それどころではなくなった。
「指を挿れただけだ。まだ一本だから大丈夫」
「う、うん」
内部を探られる感覚は、痛みはないとはいえ、とてもじゃないが気持ちいいとは言えなかった。異物感が半端ないだけだ。
だが少しずつ綻んでいってるのか、指が増えているのが分かった。
「ミカ、悪いがそのまま俺の方を向いて横になってくれ」
腕を上げたまま解すのは体勢的に辛いだろうと、美風は素直に従った。
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