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第6話

 ゆっくりとベッドに下ろされて、巧さんが覆いかぶさってくる。  まじか、俺、今女の子の気持ちを味わっている……! 「蒼くん……」  巧さんの顔がゆっくりと近付いてくる。キスをされる前に巧さんの唇を手で塞ぐと、巧さんがちょっとムッとした顔をする。顔が綺麗だから、怒った顔も迫力があった。  でも、俺はどうしてもセックスする前に、巧さんに言っておきたい事があった。 「巧さん、俺のこと蒼じゃなくて、葵って呼んで……」  ずっと蒼くん蒼くん言われて、ホストとして働いている時の自分を、この経緯になったことを思い出して地味に切なくなる。その割に巧さんが優しくて、俺も気持ち良くなっちゃって、わりとすんなり事に及ぼうとしている訳だけど……同性愛者ではないが、不思議と巧さんには嫌悪感は無かった。  でもやっぱり源氏名で呼ばれると少し引っかかる。本名で呼ばれたら、ホストとの時の意識とは切り離されるはず……。  ベロリと掌を舐められて、慌てて手を離す。 「良い名前だね、葵くん」  そのまま巧さんの顔が近づいきて、ゆっくりと唇が重なった。上唇を啄まれて、口を少し開けると、そこから巧さんの舌が入ってきて、俺の舌を絡めとられた。  巧さん、キス上手い……きもちいい……無意識のうちにに自分でも応えるように巧さんの舌を追いかけていた。  くちゅ、くちゅと響く音がいやらしくて、きもちよくて、もっとして欲しくなる。身体を這う巧さんの手も、きもちいい。 「見て、葵くん。ここすごいことになってる」 「ぁっ……」  きゅう、と性器を握られる。俺のペニスは先走りでぬるぬるになっていた。うそ、キスされただけでこんな……って、巧さんのペニス、やば、でかっ!! 自分のを見る時に不意に視界に入った勃起した巧さんのを見て戦々恐々とする。  これを俺の尻にいれるの……? 無理じゃない? めちゃくちゃデカいんだけど……! 「やっぱりパイパンエロいね」  性器を握っている手を優しく上下に動かされる。女の子と違って自分も同じものが付いているからなのか、今まで男を抱いてきた経験が桁違いに多いからなのかわからないけれどめちゃくちゃ絶妙な力加減で扱かれて、きもちいい……。 「あっ、んっ、たくみさっ……」 「腰動いちゃってるね。気持ち良い?」 「はいっ、きもちい、」  ぐちゅ、ぐちゅ、と水音か響く。やばい、イきそうかも……。 「葵くんめちゃくちゃエッチな顔してる。出る?」 「はい、たくみさっ、もういっちゃう……っ」  すんでのところで手を止められて、頭がぽーっとする。何でとめちゃうの? もう少しでイけたのに……イかせて欲しくて巧さんの顔を見ると、ちゅ、とかわいいキスが降ってきた。 「俺も葵くんで気持ちよくしてほしいな。ねえ、挿れてもいい?」 「たくみさんの……? ……入るかな」 「大丈夫だよ、ちょっと痛いかもしれないけど」  本来出口のところにそんな凶器を入れるんだから絶対痛いに決まっている。  でも、風俗で働くようになったらもっと酷いことをされるかもしれない。その点巧さんは現時点では優しくしてくれて気持ちよくしてくれている……ここで怖気付いてどうする、俺! 「お願いします、たくみさんの、挿れてください……」 「葵くんは素直で良いね。じゃあ後ろ向いて、腰上げて」  言われた通りにしたけれど、巧さんにお尻を突き出す形になって……恥ずかしいところ、ぜんぶ見られている……! 「ローション塗るよ、ちょっと冷たいかも」  とろりとしたものがお尻にかかる。縁をゆっくりと撫でられてから、俺の中に指が入ってくる。 「んっ」  巧さんの指が中をゆっくりと広げるように動いているけど、さっき触ってくれたきもちいいところを外して触ってくる。……いじわるだ。 「たくみさん……っ」  思わず強請るような声を出してしまう。恥ずかしくて、枕に顔を埋めて声が洩れないようにすると巧さんから非難の声が上がる。 「ダメだよ、葵くん。気持ち良い声、俺にいっぱい聞かせて?」 「やっ、んっ、……はずかし、です」 「恥ずかしくない、大丈夫だよ」  巧さんが強引に枕を奪い取り、ベッドの下に落とした。なんてひどいことを……! 「いっぱい声出していいよ。気持ち良くなろうね」  巧さんの指が引き抜かれ、熱くて硬いものがお尻に押し付けられる。馴染ませるようにぬるぬると尻の谷間を何度も往復する巧さんの性器。  これが今から俺の中に……と思うと、少し緊張した。

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