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第5話
「じゃあ蒼くんの身体を使って洗ってくれる?」
「え」
「ほら、蒼くんの可愛いおっぱいで、俺のこと綺麗にしてね」
「はい……」
何とか脱衣所でのセックスを回避する事が出来たが、また恥ずかしいことを要求される。
確かにソープとかヘルスで女の子が自分の身体を使って洗うのはやるけども! 俺におっぱいないよ…?!
正直戸惑うけど、俺には断る権利なんかない……。
上半身をボディソープで泡まみれにしてイスに座る巧さんの背中に押し当てた。
俺の身体なんか押し当てられて気持ちいいの……? 硬くない?
巧さんの刺青を見ながら無心で何度も背中を往復する。俺の乳首と巧さんの背中が擦れて乳首がたっちゃって、恥ずかしくなった。
「巧さん、どうですか……?」
もはや何が正解かわからなくて不安だ。
「上手だよ、蒼くん。前もしてもらおうかな」
正面に行くと、巧さんが膝をポンポンと叩いた。
「前はここに座って洗って欲しいな」
「……重くないですか?」
「蒼くんぐらいどうってことないよ。さ、乗って」
「わかりました……失礼します」
二十二歳にもなって、誰かに跨がるなんて思わなかった……!
羞恥心を抑え巧さんの上に跨がったけれど、泡でもこもこの俺は思った以上に滑りやすくなっていて、バランスを崩して巧さんに抱きついてしまう。
「ご、ごめんなさい」
「大丈夫だよ、そのまま動いてごらん」
慌てて離れようとするけれど、背中に腕が回されて巧さんに抱きつく形で固定されてしまった。
動こうとするけれど、巧さんからいい匂いがするし集中出来ない。それに背中に回ってる腕も、なんだかいやらしく動いている気がする。
「んっ、んっ」
「蒼くん上手だね。もっと抱きついてもいいよ」
「はい……」
もっとぎゅうと腕に力を込めると、俺と巧さんの肌がぴったりとくっついて、ちょっと気持ちいい……。
「蒼くん、気持ちよくなってきた? あたってるよ」
巧さんに指摘されて初めて自身が勃っていることに気付いた。
ええ?! 今ので?! 慌てて離れようとするけど、背中に回されている腕の力が思いの外強くて離れられない。
「巧さん、恥ずかしいっ、……俺だけきもちよくなってるから、離してください……」
「俺も気持ち良いから、離さないよ。よし、蒼くんがもっと気持ち良くなるために、ここ洗おうか」
先程まで背中をいやらしくて触っていた掌が、俺の尻の割れ目をなぞった。
「ひゃっ……」
「その反応、可愛いね」
巧さんがニヤニヤと笑いながら、俺の窄まりを何度も撫でる。うう、擽ったい! 変な感じだ!
「じゃあ指入れてみようか」
「巧さん、んっ」
ちょっと待って下さい、という前に巧さんの指がつぷ、と俺の中に入ってくる。緩く抜き差しされるが、違和感がすごい……!
「蒼くんのここ、すごいキツいね」
「……だって、たくみさんが、はじめてだから、んっ」
違和感を逃すために巧さんにぎゅうぎゅうと抱きつく。これ、俺、ほんとにアナルで気持ちよくなれる? いや、それよりも巧さんを俺の尻の虜にしないとなんだけど……! いけるか、俺?! 無理そうなんだけど! ていうか、なんかあたってる……?
「もー、蒼くん可愛すぎ。我慢出来なくなっちゃう」
巧さんが俺の肩に顔を埋めて、かぷ、と肩を甘噛みした。
「あっ」
びっくりして巧さんの指をギュッと締め付けてしまった。
かぷかぷと甘噛みかれながら、巧さんの指が俺の中で何かを探るように動く。
「あ、んっ!!」
巧さんの指がそこに触れた瞬間、痺れが走るような感覚が身体を襲った。
「あ、良かった。ここが蒼くんの気持ち良い所だね」
「んっ、なんか、変で、す」
「変じゃなくて、気持ち良いって言うんだよ。ね、気持ち良いでしょ?」
ぐり、と先程押されて声が出てしまった所をまた責められる。だめっ、そこ、なんかクる……!
「んっ、はっ……たくみさ、」
「ん? 気持ち良い?」
「は、い、きもちいい……」
言葉にしたら、ダメだった。巧さんの指がそこばっかり責めるから、気持ちよくて、だらしのない声が口から勝手に洩れてしまう。
「うーん、蒼くん才能あるね。お尻弄られるの気持ち良いでしょ? 元気だもんね」
そんな才能いらないです……だが悲しいことに俺の性器はお尻を弄られても元気に上を向いている。巧さんの言った通り才能あるのかもしれない……。
「ほら、もう指二本も入ってるよ、上手だね。あともう一本入るようになったらベッドに行こうか」
知らない間に俺のアナルは、指を二本も咥え込んでいたらしい。もはやこれは俺の才能というより、巧さんが慣れているだけでは……?
未知の感覚に怖くなって巧さんにしがみついていた腕に力を込めると、余計身体が密着して、勃起しているものを巧さんの腹に押し付ける形になってしまった。あぁ、やば、気持ちいい。
「俺の身体でオナニーしてるの? エロいなぁ、蒼くんは」
「ち、ちがいますっ」
顔が赤くなる。そんなつもりじゃなかったけど気持ちいいって思ってしまったから、頭の中を覗かれたみたいで、めちゃくちゃ恥ずかしい。
「でも蒼くんが動く度、蒼くんのお尻と俺のも擦れて気持ち良いよ」
「あっ」
巧さんが腰を動かすと、圧倒的な質量と熱さを持つそれがぬるりと俺の尻に擦り付けられる。
「んぅ、たくみさんの、おっきい……」
「ふふ、ありがとう」
聞こえないように小声で言ったけれど、巧さんに抱きついているから、当然聞かれてしまった。
「蒼くんのここ、上手に呑み込んでるよ。もう三本入ってるの気付いた?」
「えっ、うそぉ……」
「ホント」
気付かないうちしっかり広げられていたらしい。最初は違和感しかなかったのに、今では巧さんの指が動いてるのが気持ち良い……。
「とろとろだね、気持ち良い? ベッド行こうか。」
そのまま抱き上げられ、おざなりに身体を拭かれベッドまで連れて行かれる。
「俺、自分で歩けます……」
「んー? 俺が抱っこしたいからしてるんだけど、ダメ?」
ニコ、と爽やかに笑いかけられて、だめなんて言える人間が居るだろうか。いや、居ない。
小さな声でだめじゃないです、と言えば嬉しそうに巧さんが笑った。
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