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第1話 ビッチな社長

 ネオン街の喧騒を少し外れた路地裏にひっそりと建つバー。所謂発展場である。  男を相手にしようと思ったのは久しぶりであった。  兎に角、誰でも良いから抱かれたい。  そんな気持ちであった。 「あら、いらっしゃい」  オネェのママが声を掛けてくれる。  取り敢えず、カウンター席に腰をかけた。  一つ空けて座ったが、もう一人お客が居る。  癖の無い、色の薄い髪。綺麗な色白の美青年である。  この人はどうだろう。  タチかネコか、顔を見るに自分とは違って可愛い顔をしているし、この子はきっとネコだ。  そうに違いない。  もう他に人は居ないし、ママでも良いか。  ママはオネェだがタチもする。  でも、この子が先約かもしれない。 「あの……」  ジロジロ見すぎただろうか、可愛い顔の子が此方を見ていた。 「今夜、僕とどうですか?」  そう聞かれる。可愛い顔で。 「悪いが、こう見えて俺はネコでね」  気持ち悪いだろう。  俺だって君の様な可愛い姿だったら良かったさ。  でも歳を重ねる事に体は大きくなるし、顔だって渋くなるし…… 「丁度良かった。僕、タチなんです」 「本当に!!???」  まさかこんな可愛い子がタチだなんて。  この際チンコの大きさなんて関係ない。テクが無くても良い。俺が乗って腰を振れば良いんだ。 「今すぐホテルに行こう!」  来たばかりで悪いが、俺は彼の分も金を出すと、担ぐ勢いで外に出てタクシーを止めるのだった。

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