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第43話
笠井の話までは聞こえなかったのだろうが、だいたいの話は犬飼の相槌から予想がついたのだろう。
「AOCの仕事がいったん白紙になったそうだ。他社との競合になるらしい」
「そうですか」
別段、腹を立てたようすもなく、冷めた顔で淡々と受け答えをする瀬戸に、犬飼は言いようのない違和感を覚えた。
「お前……」
そのとき、電車がホームに着いた。
「降りますよ」
瀬戸はシートから立ち上がると、犬飼に言葉を挟む隙も与えず、開いた自動扉から出て行く。瀬戸の態度にどこか釈然としないものを感じながらも、犬飼も慌てて彼の後を追った。
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