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第64話

 太ももの裏側に当たる瀬戸のそれがひどく硬くなっているのがわかり、恥ずかしさと共にうれしさを感じた。瀬戸の指でカリの部分をきゅっと刺激されて、ぞくぞくっと肌が粟立つ。次の瞬間、犬飼は瀬戸の手の中で達していた。 「あぁ……っ」  犬飼のペニスから勢いよく出たそれは、瀬戸の手のひらをべっとりと濡らしている。 「すごいな……」  最近は仕事が忙しくてほとんど自慰すらしていなかった犬飼のそれは普段よりもずっと濃く、まじまじと見つめられた上、感心するように呟かれて、犬飼の羞恥は限界を超える。 「じっくり見るなっ! わー、嗅ぐなっ!」  慌ててティッシュを何枚か抜き取り、瀬戸の手をごしごしと拭う。恥ずかしさもあって、丸めたティッシュを押し込むようにゴミ箱に捨てると、瀬戸がやや残念そうな顔をしていることに気づき、犬飼は真っ赤な顔で、お前ばかか、と叫んだ。  くすくすと笑う瀬戸が髪を掻き上げた。楽しそうに笑った瀬戸の額に乱れた髪がぱらりと落ち、匂い立つような色気が増した。瀬戸はサイドテーブルに手を伸ばすと、さっきリビングから取ってきたものをベッドの上に置いた。それは普段瀬戸が使っているハンドクリームだ。 「犬飼さん」  わずかに緊張した犬飼に気づいたように、瀬戸が首を傾げ、犬飼の頬にくちづける。その瞳は慎重に犬飼の反応を窺っているようだ。 「あんたに挿れてもいいですか?」  無理強いをすることなく、犬飼の気持ちに寄り沿おうとする男に、犬飼は大きく深呼吸をすると、こくりとうなずいた。 「絶対痛い思いなんてさせないので、安心してください」

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