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第5話
「茨城さん、ハイ」
栃木が、俺に、コーヒーに入れるクリームを渡した。
「あ、ありがと」
俺は、クリームをカップに入れる。
「キャー!! 栃木君、優しいぃぃ!!」
女子が叫ぶ。
こういうのも計算ずみかよ。そういうとこが、気に入らねえんだよ!
「はい」
栃木は、俺にスプーンを渡す。
「ありがと」
くやしいが、栃木は気がきく。嫁さんになったら、さぞ。
というか、こいつは、結婚するんだった。
俺と!!
いいかもしれない。
と思ってしまった。
だいたい、よく見れば、顔もかわいい。
いや、よく見なくても、こいつはイケメンだ。
「顔がいいやつは、仕事に有利なんだってさ」
俺は、やつに言ってやった。
「えー。何が言いたいんですか?」
ヤツが、顔を赤らめる。
「統計的に、そういう結果が出てるんだってさ」
「それで、茨城さんが、仕事ができるって話ですか?」
そう言って、ヤツは、ニコッと笑う。
「キャー! 栃木君、かわいいー!」
女子社員よ。いいかげん、さぼるのやめよう。
そもそも、俺たちが結婚するはめになった理由は……よくわからない。
ごめん。よくわからないのだが、わかる点だけ、話してみようと思う。
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