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第1話 ハレの日に ①

大安吉日。 真司はそんなに信じる方ではなかったが、せっかくの蓮との一生に一度の日。 やっぱりいい日に挙げたかった。 「晴れてよかった」 タクシーから降りた蓮は空を見上げて、嬉しそうに微笑む。 「本当に。雨が降ったら室内でもできるようにしてもらってるけど、やっぱりあの大きな木の下でしたかったからな」 真司も蓮と同じく空を見上げ、優しく蓮の手を握った。 「いよいよだな」 「いよいよだね」 二人顔を見合わせて、式場へ入っていった。 今日、真司と蓮は人前式の日。 会場は緑と色々な花々が咲く、ガーデンウエディング。 そこには立派な大木があり、木の下まで続く中央の道には白カーペットが敷かれている。 両サイドにある参列者が座る椅子の周りには、清楚な白い花が飾られ、爽やかな風が吹き抜けていた。 真司と蓮はその大木の木漏れ日の下、親しい友や家族の前で、今日、はれて誓いの言葉を立てる。 そして、式が終わればそのまま、その庭にセッティングされている会場で1.5次会をする事になっていた。 はじめ、真司と蓮は二人だけでタキシード姿の記念写真を撮るだけのつもりだったが、椿のたっての希望により、式を挙げることになった。 式の準備や打ち合わせには真司や蓮よりも、椿の方が楽しそうに参加し、リングピローやウェルカムボード、ゲストカードをを作り…… 最終的には招待状まで作ろうとしていたので、椿に頼み込んで、それだけは真司と蓮の二人で作らせてもらえる事となったほどだった。 「蓮は本当になんでもよく似合うな」 プライズルームでタキシード姿の蓮の姿を見て、真司はしみじみ呟く。 「そういう真司だって、よく似合ってる」 蓮は少し歪んでいた真司のブートニアとネクタイを直す。 本当に新婚さんみたいだ。 って、新婚さんなんだけど… 改めて感じると、嬉しさがこみ上げる。 「蓮、今日の式、楽しみ?」 真司はネクタイを直してくれている蓮の髪を優しく撫でた。 「楽しみ。楽しみすぎて、昨日、あんまり寝れなかった。真司は?」 少し照れながらそう言う蓮は、真司にしか見せない表情をする。 「俺も楽しみすぎて、殆ど寝れなかったよ。蓮が寝れてなかったの知ってたけど、話しかけいたらそのまま二人とも寝ずに、今日を迎えてたかもな」 「真司、気がついてたんだ。真司って眠り浅い?」 「いや、そんな事ないけど、蓮のことになると、話は別かも」 2人は見つめ合い、微笑む。 そんな姿を目の当たりにした、式場の最終打ち合わせに来ていたスタッフが微笑ましくも思うと同時に、猛烈に照れてしまった。 式自体は、内内で行われた。 真司の父親は真司が大学に入る前、事故で亡くなっていたので、式に参加したのは母親と姉家族。 蓮の両親に椿。 蓮の職場の林、大山、 真司の職場の松野、野宮。 野宮に関しては、式の進行司会をしてもらえることとなっていた。 野宮に司会をお願いしたとき、 『俺、意外としっかりしてるから大丈夫。誰かさんが言う、物事を大きくする達人、だけじゃないんだぜ』 と、野宮は笑っていた。

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