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第4話 ハレの日に ④
「この料理決めたのって、やっぱり蓮さんですか?」
歓談を楽しむ松野が2人に話しかける。
「一応、俺も考えたんだけど」
まったくもって、参加していないかのように言われ、真司は口を挟んだ。
確かに、80%……。
いや、90%は蓮の案だけど……。
「大丈夫です。先輩がここまで気を配れない事は、みんな知ってます。そんな先輩もみんなにとって愛すべき先輩ですよ」
松野は満面の笑みを浮かべる。
確かにそうなんだけど、そうなんだけど……。
なんだか、物凄くディスられてる感が……。
附に落ちないと真司が眉を潜めると、
「真司の案も沢山あるよ。例えば……」
蓮が説明すればするほど、松野はにこにこ微笑み、
「先輩、愛されてますね」
真司の肩をポンポンと叩く。
「あ、それで先輩と蓮さんに報告が」
大山くんと付き合った以外に報告?
「実は同棲始めたんです」
「凄いじゃん。いつから?」
「昨日から」
「昨日から!?」
「昨日から!?」
真司と蓮は2人同時に驚いた。
また凄く急だな。
「そこでお二人に同棲の秘訣とかお聞きしたくて……」
少し照れながらも真剣な面持ちで松野は2人を見た。
「俺、こんなに人を好きになったことも、真剣に付き合った事も、一緒にいたいと思ったこともなくて……。どうしたらいいかわからないんです」
松野、本気なんだ。
初めてみる松野の表情に真司も胸が熱くなった。
「それはね、2人でたくさん話すことかな?相手のことを思いやるのも大切だし、自分の気持ちも大切にして。そうしないと空回りして辛くなるよ」
蓮は松野に微笑みかける。
「大山くんも、きっと松野さんの事大切に思ってる。だから彼を信じてあげてね」
蓮がもう一度微笑むと、松野の中につっかえていたものが、真司にはなくなっていったようにように見えた。
「ありがとうございます! 気持ちが楽になりました。あの……また相談聞いてもらえますか?」
「もちろん‼︎でもその前に、2人で遊びに来いよ」
「ありがとうございます!」
松野は清々しい笑顔で大山のもとへ走っていく。
「2人ともお互いを思いやってて、よかったよ」
「見本が俺たちだから、うまくいくに決まってる」
真司と蓮は、2人のために祝ってくれている大切な仲間を見渡し、
これからの未来を、
しあわせな瞬間を噛み締めていたのだった。
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