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第2話

後半から出てきた色白でサッカーをやっているという体格には見えないくらい華奢な身体と太めの眉、大きな瞳が印象的なその存在に、勇大は惹かれた。 背番号11をつけたその選手は、試合開始と同時にものすごい速さでボールを操り、次々と得点を重ねていった。 「スゲーよな!アイツ!!俺、同じ塾なんだけどさ、U15にも選ばれた事があるんだぜ?」 出が興奮しながら話す。 「それは凄いな。名前、何て言うんだ?」 「隆志だよ、白川隆志(しらかわたかし)。ひどい喘息持ちだからフルでは出られないけど、あの調子だから『白い光束』ってアダ名がついてるんだって!」 「へぇ……」 試合に20分出て、5得点。 その間誰にも止められない走り。 勇大はその動きに衝撃を受けた。 「……なぁ、その白川っていう奴はどこの高校受けようとしてるか分かるか?」 彼と一緒のチームになりたい。 一緒に試合に出てみたい。 沸き起こった感情を、勇大は抑えられなかった。 「あぁ!アイツ頭も良くてさ、聞いた話だけど翠璃ヶ丘(みどりがおか)学園受けるらしいよ」 「そうなんだ……」 翠璃ヶ丘学園は幼稚園から大学までエスカレーター式の学校ではあるものの、小中高は若干名、外部入学生を受け入れている文武両道の共学校だった。 自分の実力では今から頑張れば合格可能な範囲ではあった勇大は、出からの話を聞いて今まで決めていた志望校を変え、翠璃ヶ丘(みどりがおか)学園を受験する事を決めた。

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