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第24話
「ごめん、着物、汚しちまって」
「大丈夫だよ、これ、洗えるのだし元々すぐ洗おうと思ってたから」
後始末を済ませると、勇大は隆志を支えながら洗濯機に着物を入れて洗うのを手伝っていた。
「身体、しんどくないか?」
「ん、思ったより大丈夫。最初ってすぐ歩けないのかな、って思ってたけど、発作の時の方がキツい」
「そうなのか……」
Tシャツとハーフパンツに着替えたふたり。
いつもの笑顔を見せてくれる隆志に、勇大は安心する。
「ね、勇大」
「ん?」
「オレ、勇大にずっと言おうと思ってた事があるんだけど」
着物を干してから部屋に戻ると、隆志が言い出した。
「どんな事……?」
「うん、あのね、オレ、中学を卒業する前に勇大に会いに行った事があるんだ」
「えっ!?」
隆志を休ませて布団を敷いていると、隆志が恥ずかしそうにしながら言う。
「勇大がオレの試合見て、オレが翠璃ヶ丘受けるって聞いて志望校変えたって話を聞いたから、どんな奴なのかな、って気になって。受験の後、午前授業の日に勇大のいた中学に行ったんだ…」
「そうだったんだ……」
(俺、何で気づかなかったんだ。あの時には隆志の顔、分かってただろ……)
全く気づかなかった自分を、勇大は恥じていた。
「もう引退してたのに弁当持参で後輩たちと楽しそうにサッカーしてる勇大を見て、一緒にサッカーしてみたいって思ったんだ。だからサッカー部で会えた時、すごく嬉しかった」
「隆志……」
布団を敷き終えた勇大を、隆志が抱きしめてくる。
「勇大、オレの事見つけてくれてありがとう。勇大に出会えて良かった」
「……それは俺の方だよ、隆志。お前は俺の光だ……」
憧れだったはずの光は、今はかけがえのない光になっていた。
その光をいつまでもすぐ傍で見つめていたい。
勇大は隆志の額に自分のそれを重ねると、キスをしていた……。
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