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第58話「慣れ」

「んッ!し、しつこい!」 ぐずぐずに解されていると言うのに義人の穴にはまだ藤崎の指が入ったまま、一向に別のものが突っ込まれる気配はない。 「んー、ローション使ってるのは分かるんだけど、こんなにスルスル奥に入るのすごいなあって」 「は、アッ、あっ、、そうじゃ、なく、って」 どうして欲しいかは分かっているが、あんまりにも指が思い通りに穴に埋まっていく様を見ているのが楽しくて、藤崎は手が止まらない。 動かすたびにビクンッビクンッと跳ねる義人の腰は必死に彼を誘っているのだが、まだ好奇心が勝っていた。 「義人すごいよ、2本でも全然ゆるい」 「あんッ!だ、だからあ!」 力一杯蹴った筈が、途中で気持ちの良い波が来たせいで義人の蹴りは藤崎の肩にトン、と足を押し付けたくらいの威力で終わってしまった。 膝の裏を自分で抱え込まされ、後ろの穴を藤崎に見せつけるような体勢で義人は肩を上下して呼吸している。 「ん、まあ、そろそろ俺も限界」 2人分の下着は既にベッドの下、床の上に落ちている。 藤崎は一度枕元にある0.01とデカデカと書かれた箱から小さな袋を1つ取ると、もう一度右手の中指と薬指をゆっくりと穴に沈め、左手に持ったゴムの袋の端を歯に噛ませ、器用にギュイ、と破った。 いい加減、義人の声を聞き、穴のぐずぐず具合を目の当たりにして痛い程に勃起していたそれの限界が来たようだ。 「あっ、あっ、あんま、しな、いでっ、ダメッ、久遠、だめ、」 執拗に解された穴の中は暖かく、ローションの滑りは余計に良い。 右手を腹の裏に向かって曲げて押しては離すを繰り返すと、ぐっぽ、ぐっぽ、と空気が動くような音がした。 「はっ、ぁあっ、あんっ、んうッ!」 イクのを我慢しているのか、義人が抱え込んでいる脚はブルブルと震え、爪先にまでガッチリと力が入っているのが見えた。 藤崎は全てを確認しながら、ゴムのつけ終わったそれをピト、と指を抜いた穴に沿わせる。 「義人、力抜いて」 「だめ、今やめろっ、絶対イク、絶対イクから、」 こちらを見ず、逃げるように口早にそう言った義人を見つめ、藤崎は満足そうに微笑んだ。 「じゃあなんて言うの?」 義人は閉じていた目を開き、覆い被さる藤崎の深い茶色の目を見上げる。 「っ、、」 きゅうっ、と自分が穴を締め付けたのが分かる。 「言って」 左手がいたずらに義人の性器の先端をつまみ、くにくにと遊んでから尿道の入り口を人差し指の腹でほじり始める。 「ぅアンっ、うっ、ダメ、出る出る出る!!」 「義人、可愛く言って、聞かせて」 ググ、と後ろの穴の入り口にあてがわれているそれの先端が中に入ろうと穴のシワを退けだした。 義人は性器から足の先まで走り抜けていく甘ったるい電流の感触に少しだけ舌を出し、はあ、はあ、と熱っぽい吐息を繰り返してから口を開く。 「いっ、ぃい、、い、イキそ、イキそっ、から、ンンッ、んひっ、んっ、イっ、て、」 「だめ。もう一回」 「んんんんっ!」 更にグッと押され、穴が広げられ始める。 「イッ、、イクッ、イキそう、久遠、いっ、あんんん!イキたい、イキたいよおッ、イっていい?、お願い、ああッ!!」 「はあ、可愛い。イって、いいよ。んっ、射精するところ、見せて」 「あっ、やめ、それダメッ!ダメ、え、ダメダメ、やめ、アッ、、あっ、」 藤崎の手に付いていたローションを亀頭に塗られ、手のひらでこねるようにぐるぐると先端を刺激され続ける。 穴の肉の壁を押し広げながら藤崎の性器が中に侵入すると、目眩でも起きたかのように義人の頭の中は真っ白に染まった。 「あっ、、ゲホッ、うっ、、ぁ、ダメ、」 「イってるの?」 「あ、だめ、くる、、、あ、ぁあああッ、あーッ、あっ、う、うう!!」 一瞬ふわ、と穴の中が広がった次の瞬間、ぐううっと穴の入り口がいつもよりキツく締まり、中も微妙に締め付けが増す。 「ははっ、あー、、気持ちいい」 「んっぐ、久遠、ぁって、待って、イってる、イってるう!!」 確かに、目の前の義人のそれは勢いのない射精をぐだぐだと続け、精液を垂れ流してヘソに溜めている。 「気持ち良いね?俺もすごく気持ち良いよ」 「待って、お願い、イっ、いいっ、イって、あっ、んんん、んっんん、んんぅッ!」 「可愛い、ちゃんとここ見えてる?」 パンッパンッと勢いよく中を擦られながら、義人は藤崎に脚を抱えられて下半身を高く持ち上げられる。 彼が言った通り、見たくもない結合部がよく見えて余計に恥ずかしさが増した。 藤崎が突くたびに、彼の精液の溜まった玉が後ろの穴のそばに当たる。 (射精される、射精される、中に出されるッ) 「久遠ッ、すご、やあッ、ああっ、あっ!」 穴を見つめながら自分のものを出入りさせていた藤崎の視線が今度は真上あたりから義人に降ろされた。 汗をかいた頬や額にはミルクティベージュの淡い色の髪が張り付き、先程から水滴がパタパタと義人の腹や胸の上に落ちてきている。 「気持ちいいッ」 だらしない顔で義人は言う。 うっすらと開いている目は彼の長い睫毛が邪魔でよく見えなかった。 穴の入り口の締め付けが強く、根本から先端まで丁寧に入れたり出したりしていた藤崎も段々と射精感が込み上げてきている。 (具合の良い穴になっちゃったなあ) まだまだ反応には新鮮さがあるものの、藤崎の性器を受け止める事には慣れてしまった穴が、なんだか自分のものの形に沿っているようで心地いい。 しまえなくなった舌を邪魔そうに突き出して呼吸する義人が愛しくてずっと胸が痛い。 身体をドロドロに溶かして鍋に入れて、自分の身体と混ぜてしまいたかった。 (俺のもの、) 未だに鬱血の跡の残るこの白い肌も、1年間抱き続けてきたせいで少し目立つようになってきた胸も、ぷりんと上を向いているくせに夜になると穴で藤崎のそそり立った肉棒を咥え込む尻も、細い手足も、甘い茶色の細い髪も、とろんと溶けてしまってだらしない表情をしている顔も。 (頭の中も、全部、俺だけの義人) 「う、ひっ、、あ、あ"、奥、だめ、え、!」 ぐううう、と性器を押し込めるだけ押し込むと、痙攣したように義人の腹がビクビクと動いた。 「可愛い、ね、、ンッ、はあ、」 ビュッとゴムの中で射精をする。 本当は義人の中に出したいけれど、それは昨日叶えたので今日は堪える事にした。 「うっ、ううっ、、あ、はあっ、、はあっ、はあっ」 射精が終わると藤崎の身体から力が抜け、持ち上げられていた義人の腰がドッとベッドの上に戻る。 藤崎は後ろに入れたまま、義人の脚を左右に大きく開かせ、自分が義人に覆い被さって腹に重みを与えた。 「うわっ、、はあ、、はあ、何だよ」 「あったかいね」 「あちーよ、むしろ」 ちゅ、と触れるだけのキスをすると、義人はくすぐったそうに笑った。

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