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愛する想いを聖夜に込めて――20

「ちょっ!」  人通りがまったくないとはいえ、いつ誰が現れるかわからないというのに、大胆な行為を続行する榊に、驚きを隠せなかった。 「和臣ってば、俺よりもすごいことになってる。スーツ越しなのに、これはヤバい」 「こんなところでそんなコトするなんてっ、もっ…恭ちゃん!」  布地越しに触れるもどかしさも手伝って、和臣の息がどんどんあがっていく。外気が結構冷たいというのに、抱きしめる榊の体温と卑猥なお触りをされるせいで、自分の体温がいやおうなしに上昇していくのもわかった。 「なぁ、いつもより大きくなってるのは、俺の気のせい?」 「そ、んなのっ、知らなっ……うっ!」 「ピクピク脈を打ってる、和臣の美味しそうだ。これはしゃぶって、味わいたいレベルかも」  言いながら榊は、喉を鳴らしながら舌なめずりをした。和臣を見下ろす視線は、獲物を狙う獰猛な肉食獣のそれだった。 「ダメ…それ以上、し、刺激しない、でっ」  一応羞恥心を持ち合わせているので、今すぐにでも榊のお触りをとめたかった。それなのに和臣の理性をなし崩しにしてやるぞという手の動きに、抵抗はおろか淫靡に蠢く手を退けることすらできない。 「あっ、先っぽ敏感なの、にっ…ぐりぐりしちゃ…んあっ!」  触れられれば触れられるほど、和臣の奥が榊を欲しがってじんじん疼いた。 「普段は自分から押しつけてくるくせに、やっぱり外だと恥ずかしい?」 「当たり前、でしょ。何考えて、るのっ!」  抵抗を示す言葉を必死に口にした和臣の耳元に、榊は顔を寄せた。耳の縁にくちづけしてから、吐息を吐き出すようにゆっくり返答する。 「なに考えてるって決まってる。和臣の熟したアソコ」 「恭ちゃん!」 「和臣のが大きすぎて、全部咥えられないのは残念だよな。根元までしゃぶって、気持ちよくさせたいのに」  言いながら、なぜかキョロキョロしだす。 「恭ちゃん、まさかとは思うけど。いや……、それを口にすらしたくないかも」 「言葉は言霊、ぜひとも口にしてくれたらいいのに。俺は全力で、和臣の願いを叶えてやるぞ!」  小さく笑った榊が和臣の唇めがけて顔を近づけたら、細長い人さし指がその動きを見事に止めた。お預けを食らった恋人は目を瞬かせて、和臣を恨めしそうに見つめる。 「僕のお願いは、一刻も早く家に帰りたいことだよ。これ以上ひやひやさせないで、恭ちゃん」 「わかった、わかった……。家に着いたら、覚悟してもらうからな。ピアノを奏でたこの両手で、和臣をここぞとばかりに啼かせてやるから」  さらりとすごい宣言をした榊に、和臣は違う意味でひやひやしたのだけれど――いつも以上に熱い夜を過ごすことになり、思い出深いクリスマスイブとなった。  愛でたし・愛でたし♡

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